最後に笑うのは大坂選手、セリーナの嵐を切り抜け

最後に笑うのは大坂選手か/Alex Pantling/Getty Images North America/Getty Images

2018.09.12 Wed posted at 12:33 JST

(CNN) テニスの全米オープンは、夏のスポーツイベントの中でも最大の見せ場になるはずだった。

だが8日に米ニューヨークで行われた女子シングルス決勝を制した大坂なおみ選手の栄光は、セリーナ・ウィリアムズ選手の暴言騒ぎの中で輝きを奪われた。

過去20年間君臨してきたウィリアムズ選手を相手に、快挙を成し遂げた大坂選手。だが表彰式を待つ間の10分間、ずっと1人で椅子に座り、2万3000人の観客席からの強烈なブーイングにさらされた。

子どもの頃からウィリアムズ選手にあこがれて育ったという大坂選手は、キャップを目の上まで深くかぶって涙を流した。ウィリアムズ選手がマイクを取り、ブーイングをやめて新しいチャンピオンを祝福するよう観客に促すと、ようやく涙は止まった。

コーチのサーシャ・バイン氏はニューヨーク・タイムズ氏の取材にこう語っている。「何もかもが彼女に投げつけられた。セリーナの大きな爆弾、あの観客、あのドラマ。彼女は冷静さを保った。人には訓練で身につけられることと、本質的に備わっていることがある。あれはナオミの才能だと信じる」

決勝後の騒ぎについては盛んに報道される一方で、ネットの向こうで荒れ狂う相手を前に、大坂選手が見せた輝かしい実績にはあまり注目が集まらなかった。

日本人として初めて4大大会シングルス優勝を果たした2日後、WTAインサイダーの取材に応じた大坂選手は、「セリーナが私に激怒していないことを祈ります」とコメントした。

初めて立った4大大会決勝の舞台で、相手を圧倒する試合運びを披露

だが大坂選手が謝罪する必要は何もない。大坂選手は単純に、全てで優っていた。サーブも動きも返し方も、ウィリアムズ選手より上だった。

ウィリアムズ選手がラケットをたたき付けたり暴言を吐いたりして何度も警告を受け、会場中にブーイングが響き渡る中、大坂選手は試合を通じて冷静さを保ち、人生最大の勝利をかけてサーブを放った。

試合後の記者会見では、「この試合中はとにかく集中しなければと思った。相手は偉大なチャンピオンだから、いつ逆転されるか分からない。私はただ、自分自身に集中しようと努めていた」と振り返っている。

表彰式での輝かしい瞬間は奪われたかもしれないが、大坂選手は日本でスーパースターになった。

日本人の母とハイチ人の父の間に生まれ、米国で育ち、日本人として大会に出場。ここ数年は日本語上達のためのレッスンも受けていた。

アジア系の女子選手が4大大会のシングルスを制したのは、2011年の全仏オープンで優勝した中国の李娜選手に続く2人目。米誌フォーブズは大坂選手について、「ウィリアムズ選手を継いで世界一収入の多い女子選手になるのはほぼ確実」と予想、今後2年の間にコート外の収入は10倍に増え、年間150万ドルから1500万ドルになる見通しだとした。

あこがれのウィリアムズ選手(右)を破りチャンピオンの座に

米国でもここ数日で相次いでテレビ番組に出演。いつものように落ち着きを保ちながら、ユニークなユーモアのセンスも披露している。

WTAインサイダーのインタビューで、人生を変えた勝利の後に一番楽しみにしていることは何かと尋ねられると、「今は抹茶アイスクリームがすごく食べたい。だから人生が変わって抹茶アイスクリームが食べられるといいな」とジョークで応じた。

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