ベルリン(CNN) ドイツ東部ザクセン州ケムニッツで30日までに、外国人によるドイツ人男性の刺殺事件に端を発する極右勢力の反移民の抗議活動が2日間にわたって起き、これに反発するデモ隊との衝突も起きた。
口論が原因の刺殺事件ではイラク、シリア両国出身の男2人が逮捕された。事件を受けた極右による最初の抗議デモは26日に発生。現場で撮影のビデオ映像には外国人らしき人間を追い掛ける様子も含まれていた。地元メディアは、外国人を標的にした威嚇活動も起きたと伝えた。
ケムニッツの地元警察によると、翌日27日夜の抗議デモには約6000人が集結。一部参加者はナチス式のスローガンを唱和し、ヒトラー式の敬礼を交わした。ナチスの敬礼はドイツで禁止されており、10人が聴取を受けた。
警察は放水銃や催涙スプレー弾などで排除を試みた。デモ隊は発火物を投げるなどして抵抗した。
ザクセン州の州警察によると、27日には極右の活動に反発し、他州から多くが集まった約1500人もデモ活動を実施し、極右との衝突も起きた。同日にはデモ参加者18人と警官2人が負傷した。
ドイツのメルケル首相は28日、ケムニッツの騒動に触れ、「路上での憎悪発散の場所は我が国にはない」と非難した。
同首相は2015年、欧州が直面した難民・移民危機で年間で100万人以上を受け入れる開放政策を打ち出した。ただ、野党陣営は強く反発し、難民排除を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が台頭する契機ともなった。
26、27両日の極右と反対派の集会や衝突は難民、移民政策をめぐってドイツ社会が陥る分断の現状を新たに露出させる格好ともなった。