ハリケーン死者数2975人に、46倍の大幅修正 プエルトリコ

ハリケーン「マリア」による死者数が2975人と大幅に修正された/Mario Tama/Getty Images/File

2018.08.29 Wed posted at 10:25 JST

(CNN) 米自治領プエルトリコ当局は28日、昨年9月に襲った大型ハリケーン「マリア」による死者数を、これまでの公式発表から46倍の2975人に大幅修正した。

昨年12月の公式発表では死者64人とされていた。米ジョージ・ワシントン大学が同日、プエルトリコ当局の委託を受けた調査結果として、マリア被災から半年間の死者は通常より2975人増えていたとの推計を発表した。

調査によると、マリアの影響で死亡した人は貧困地区の住民や高齢の男性が特に多かった。

ある女性の父親は今年1月、人工呼吸器を作動させていた自家発電装置の燃料切れで死亡したという。マリア関連の死者には数えられていないが、遺族は被災が原因だと主張する。

プエルトリコのロッセロ知事は記者団に「未曾有の被害だ」と語る一方、新たな人数はあくまでも推計にすぎず、具体的な名簿があるわけではないと指摘。当局は今後も調査を続け、数カ月から数年かけて正確な人数把握に努めると表明した。

ハリケーンによる死者の遺族は、米連邦政府から葬儀費用の補助を受けることができる。さらに将来、ハリケーン関連の死を防ぐためにも正確な人数を知る必要があると、専門家らは指摘する。

ハリケーン「マリア」の襲来でプエルトリコには大きな被害が出た

マリアの死者数をめぐっては、トランプ米大統領が被災地を視察した直後、公式発表が16人から34人に修正されたことに対し、政治的な配慮を疑う声が上がった。

また、昨年11月にCNNがプエルトリコの葬儀場を取材して499人の死亡を確認し、12月には米紙ニューヨーク・タイムズが死者1052人との試算を発表。今年5月には米ハーバード大学の研究者らが医学専門誌に「死者793~8498人」との調査結果を報告するなど、議論が続いていた。

ロッセロ知事は28日、マリアへの自身の対応に「間違いがあったことを認める」と述べる一方、「政治的配慮が関係していた事実はない」と断言した。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。