(CNN) トランプ米政権が銃擁護派の団体に、3Dプリンターで銃を製造できるデータの公開を許可した問題をめぐる訴訟で、北西部ワシントン州の連邦地裁は31日、許可の一時差し止めを命じた。
原告を代表する同州のファーガソン司法長官は記者会見で、「連邦地裁判事の判断は明白だ。連邦政府が破滅的な決定を下す前の状態に戻るということだ」と述べた。
連邦地裁では、ワシントンやニューヨークなど8州と首都ワシントンが差し止めを求める訴訟を起こしていた。31日にはこれにアイオワ、バージニア両州が加わった。
銃所持の権利を主張するテキサス州のディフェンス・ディストリビューテッド(DD)は政府の許可を得て、8月1日から製造方法のデータを配布できることになっていた。しかしデータはその前からネット上に掲載され、すでに1000件以上のダウンロードが報告されている。
ニューヨーク州のクオモ知事は31日、DDに同州での配布停止を命じる書簡を出した。また州警察に対し、攻撃用と分類される武器を製造することは州法で禁止されていることを市民に周知するよう指示した。
クオモ氏はさらに、州の銃規制法を強化し、3Dプリンター銃や、製造番号がなく金属探知機でも検出できない「ゴースト銃」の密造を全て禁止する立法を目指すと表明した。
ペンシルベニア州は29日、同州での期日前の配布を停止するよう求める訴えを起こした。同団体はこれを受け、正式な審理に入るまでの数日間はペンシルベニアのIPアドレスをブロックすることに同意した。
一方、銃ロビー団体の「全米ライフル協会(NRA)」の幹部は31日、「銃反対派の政治家や報道関係者の多くは、3Dプリントの技術で探知不可能なプラスチック製の銃が製造され、広く普及すると主張しているが、それは間違いだ」「ネット上で何が公開されようと、探知不可能な銃は30年前から禁止されている」と強調した。
金属探知機で検出できない銃器の製造や売却、所持は、1988年の連邦法で禁止されている。