クルーズ船員のホッキョクグマ射殺に非難集中 ノルウェー

スバールバル諸島では道路標識で運転手に対しホッキョクグマの存在に注意を促している/DANIEL SANNUM LAUTEN/AFP/AFP/Getty Images

2018.07.30 Mon posted at 10:06 JST

(CNN) ノルウェー北方の北極海に浮かぶ島で、クルーズ船の先遣チームがホッキョクグマを射殺したことに対し、インターネット上で非難が集中している。

独ハパックロイド・クルーズの客船ブレーメン(定員155人)は10日間のクルーズに出ていた28日、ノルウェー領スバールバル諸島のスピッツベルゲン島に到着。ホッキョクグマから乗客を守るため、法律に従って常時同行している4人のチームがまず下船した。

同社によると、チームはホッキョクグマ1頭が近くにいることに気付かず、メンバー1人が襲われた。ほかのメンバーはこのホッキョクグマを追い払おうとしたが失敗し、銃で撃ち殺した。

襲われたメンバーは頭部を負傷して空路病院へ運ばれたが、命に別条はないという。

同社はチームの行動について、自衛のために介入せざるを得なかったと説明し、「非常に遺憾」だと述べた。

ホッキョクグマは生息数が世界でわずか2万5000頭とされ、絶滅の危険が高まる「危急種」に指定されている。

「ホッキョクグマを見るために島を訪れるわけではなく、通常は船上から観察するだけ」だと、同社は主張する。しかしインターネット上では「ホッキョクグマに近寄り過ぎておきながら、向こうが近寄ってきたからと殺すのか」など、非難の声が相次いだ。

ノルウェー極地研究所(NPI)はスバールバル諸島を訪れる観光客に対し、ホッキョクグマから身を守るために猟銃などを携行するよう呼び掛けている。クマを追い払うのに緊急時に使用する信号弾なども有効であるとしている。

ガイドラインでは、クマを追ったり、見つけようとしたり、おびき寄せようとしたりすることは禁じられていると強調。ホッキョクグマは人間に対してほとんど敬意を払わず、人間が近づき過ぎると容易に危険な状況が引き起こされると警告している。

同諸島には約3000頭が生息し、人間との遭遇でほぼ毎年1頭が殺されているという。

ホッキョクグマ射殺に非難集中

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