脳性まひの12歳少年、目の動きで書いた本を出版 英

12歳のジョナサン・ブライアン君が、目の動きで文字をつづって書いた本を出版/Chantal Bryan

2018.07.26 Thu posted at 13:15 JST

(CNN) 英国で、脳性まひのため口で言葉を発することも手を動かして字を書くこともできない12歳の男の子がこのほど、目の動きで文字を選択するコミュニケーションツールを使って1冊の本を出版した。

本の著者は、英国南部のウィルトシャーに住むジョナサン・ブライアン君。生まれたときから脳性まひを患い、手足を自由に動かすことができない。言葉も話せないため、幼いころから両親との意思疎通は、笑顔や眉を寄せるといった表情の変化を通じて行ってきた。学校でも読み書きを習うことはなかった。

それでも母親のチャンタルさんは、学校以外の1日2~3時間を使って文字の読み方と書き方を教えた。9歳になるころには、自分の言いたいことを何でもアルファベットでつづれるようになったという。

今回、本を1冊書き上げるにあたってジョナサン君の助けになったのは「E-トラン・フレーム」と呼ばれるシステムだ。これは5色の色分けコードに分類したアルファベットを透明のプラスチック板に記したもの。ジョナサン君はプラスチック板を目の前で持つ相手に対し、視線の動きで使いたい文字を伝えていく。

1年がかりで完成した本のタイトルは「Eye Can Write(仮訳:目で本が書ける)」。内容はジョナサン君の回想録で、最初は母親の視点から生まれて間もない時期や字の読み書きを習った経緯が語られ、その後はジョナサン君の視点へと移っていく。本人の生き方にとって重要な位置を占めるキリスト教への信仰に関する記述もある。

今月12日に刊行されると、多くの好意的な反応が寄せられた。ジョナサン君は頑張って書いた甲斐があったと喜びを語った。

本の序文は母親のチャンタルさんが執筆。売り上げの一部は慈善団体に寄付される

母親のチャンタルさんは息子の著書について、脳性まひ患者の生活について書かれたものだが、そこに込められたメッセージの多くは普遍的なものだと強調。同じ状況にある親子にも何かが伝わればと期待を寄せつつ、「ジョナサンが肉体的にできることはあまり多くはないが、だからといって心も活動的でないということにはならない」と話した。

ジョナサン君は本を書いた動機について、自分と同じような人のために役に立ちたかったと説明。「E-トラン・フレーム」を使い、「ぼくは声を持たない人の声になる」と語った。

本の売り上げの一部は、学習障害の有無にかかわらずすべての子どもたちに読み書きを教える教育システムを推進する慈善団体に寄付される。

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