人種別の収入格差、アジア系が10倍超と最大 米調査

上位と下位の収入格差はアジア系が最大となった

2018.07.15 Sun posted at 17:01 JST

(CNN) 米シンクタンク「ピュー・リサーチ・センター」は15日までに、アジア系米国人の収入などに関する新たな調査結果を公表し、米国社会で世帯別所得の中間値算定では最高水準の報酬を得ているもののアジア系社会の中での貧富の差は人種別に見て最も大きいとする報告書をまとめた。

この格差は拡大基調にあるとし、所得額で最上位層10%と最下位層10%を比べた場合、最上位層は最高で10・7倍稼いでいるとした。最上位層の収入額は13万3500ドル(約1495万円)を超え、最下位層は1万2500ドル以下となっている。

この経済格差の程度はアフリカ系(黒人)を抜いて最大の水準となった。

アジア系住民の間の所得格差は最大で6・1倍となっていた1970年以降、特に拡大した。米国社会のここ数十年の傾向を見ると、収入格差は全般的に進み、高所得層の稼ぎが膨らむ一方、中間層と貧困層の手取りが低水準の伸びを示し続ける構図となっている。

この傾向はアジア系でも変わらず、最上位層10%の収入は1970~2016年の間にほぼ倍増。最下位層の場合は11%増だった。この格差は白人、黒人にヒスパニック各層と比べより広がっていた。

同シンクタンクの上席研究員によると、アジア系の中における格差拡大の背景には米国へのアジア系移民の出自の多様性がある。米国内に居住するアジア系成人の約80%は米国以外の出身者。アジア系の人口成長率は人種・少数民族別で最速となっている。

アジア系の移民は連邦議会がベトナム戦争終結を受けて打ち出した移民や国籍関連法の可決以降に急増。これらの移民の多くは低水準の技能保持者だった。

議会は1990年になってより高度の技能を持つ移民流入を促す移民関連法を成立させた。これ以降、ハイテク技術関連産業の隆盛と共にインドや中国などの高学歴のアジア系住民が米国へ目指すようになった。これらの移民層がアジア系世帯の所得の中間値を他の人種を上回る最高水準に押し上げる原動力ともなった。

ただ、この移民層の出現はアジア系社会の中で学歴や収入水準でさまざまな差異を引き起こすことにもなった。

例えばインド系成人の72%は学士号を保持しているが、ブータン系の場合はわずか9%となっている。インド系の収入の中間値は10万ドルだが、ミャンマー系は3万6000ドルとなっている。


上位10%と下位10%の格差はアジア系が10・7倍

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。