米NASAの「静かな超音速機」、11月にテキサス上空で試験飛行

2018.07.04 Wed posted at 18:49 JST

(CNN) 騒音を抑えた超音速機の開発を進める米航空宇宙局(NASA)は、今年11月以降、米テキサス州の上空で米軍の戦闘機を使い、騒音の実験を行う計画を明らかにした。

NASAは米航空機大手ロッキード・マーチンと共同で超音速機を開発中。実験機は「Xプレーン」と呼ばれていたが、最近新たに「X59 QueSST」と名付けられた。

超音速機の開発では、衝撃波による爆音を抑えることが大きな課題とされてきた。NASAの航空工学エンジニアによると、X59でも衝撃波は生じるが、それが重なって爆音になるのを防ぐ形状が工夫されている。

X59が上空を飛ぶと、地上では爆音の代わりに「バタバタ」という、ほとんど気にならない程度の音が聞こえることになるという。

11月の実験では、メキシコ湾に面したテキサス州ガルベストンの上空から、海軍の戦闘機「FA―18ホーネット」を音速で急降下させる。この時に生じる爆音は海上に抜け、地上にはX59で想定されるのと同じ「バタバタ」音だけ届くと考えられる。

地上では約500人の住民が、音が聞こえたかどうか、聞こえた場合はどの程度の騒音だったかを記録する予定だ。

騒音が問題のないレベルだと確認できれば、X59の開発は2021年完成の目標に向け、大きく前進することになる。

機体が完成した後は、米国内の別の都市などでさらに飛行実験を重ね、地上からの情報を集める計画だという。

「Xプレーン」と呼ばれていたが、新たに「X59 QueSST」と名づけられた

かつて英仏が開発した超音速機、コンコルドは商業飛行を実現したものの、騒音やコストの問題が重なり、03年を最後に全機が退役した。

だが最近になって、複数の新興企業などが騒音を抑えた新たなモデルの開発に乗り出し、改めて関心が高まっている。

今後10年以内の実用化を目指す米ブーム・テクノロジーには、日本航空が昨年、1000万ドル(約11億円)を出資した。米スパイク・エアロスペースは年内に試験飛行にこぎ着けたい構えだ。

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