(CNN) タイ北部チェンライ県の洞窟で行方不明になっていた少年など13人が、9日ぶりに無事発見された。しかし13人の安全が確保されたわけではなく、洞窟から助け出す方法については発見から一夜明けた3日現在も模索が続いている。
タイ海軍の特殊部隊(SEAL)によると、サッカーチームの少年12人とコーチ1人は多少衰弱しているものの、けがはかすり傷程度しか負っていないことが確認された。食事もダイバーが届けたという。
外で待つ家族は喜びに沸いているが、まだ危険が過ぎ去ったわけではないと当局は強調する。13人がいるのは洞窟の入り口から約2キロ、地下800メートル~1キロの地点。水位が上昇し続ける恐れもある。
避難場所となっている岩場は傾斜していて泥に覆われ、狭い場所に13人が身を寄せ合っている。周囲は水に取り囲まれた状態にある。
赤丸の1は洞窟の入り口、2は持ち物が発見された地点、3は少年らが発見された地点。地表から800メートル~1キロ下にある
タイは現在、モンスーンの雨季に入っており、2日はいったん収まっていた雨が、3日は再び降り始めた。洞窟内には排水用の巨大ポンプが設置されているが、再び水が流れ込めば、救出活動が振り出しに戻る可能性もある。
ダイバーは水没した狭い迷路のような洞窟をくぐり抜け、9日がかりで13人のいる場所にたどり着いた。しかし少年たちが暗闇の中でこの複雑な地形をたどることは難しい。急流に襲われたり、泥水の中を通ったりしなければならない場所もある。
ダイビングで救出する方法も検討されているが、これは大きな危険を伴う恐れもあり、米国の専門家は「洞窟ダイビングは熟練ダイバーにとっても極めて危険が大きい。それなのに、ダイビングの経験がほとんど、あるいは全くない人たちが、複雑で真っ暗闇の状況の中で、計器に頼ってタンクで呼吸しなければならない」と危惧する。
この専門家は、水位が低下するか新しい入り口が見つかるまで、食料などを届けながら今の場所にとどまってもらうことが最も安全な選択肢だと言い添えた。
タイ海軍の司令官は、少年たちには4カ月分の食料を届けると説明した。当局は、雨季が終わる10月まで待つことも検討していると思われる。
しかし海洋探検に詳しい専門家のティム・テイラー氏は、この洞窟が多孔質の岩で形成されていることから、天候が良くなるまで待つという選択肢はないかもしれないと指摘する。
それでも希望はあると同氏は述べ、「泳がなくてもダイビングはできる。そのための機材を使えば恐怖を克服でき、難しいことを教える必要もない」と説明。ただ、トレーニングにはある程度時間がかかるかもしれないと話している。
洞窟で発見された少年ら、救出方法の模索続く