米国務省、海兵隊に在台窓口機関の警護要請 実現すれば40年で初

先ごろ完成した米国在台協会の台北事務所の新庁舎

2018.07.01 Sun posted at 18:04 JST

ワシントン(CNN) 米国務省が米国の対台湾窓口機関である「米国在台協会(AIT)」の事務所警護のため米海兵隊に要員派遣を要請したことが1日までにわかった。米政府当局者2人がCNNに明らかにした。

海外の米大使館警護に海兵隊兵士が配置されるのは歴史的に見て公式な外交関係を持つ国に限られ、台湾への派遣が決まった場合、その象徴的な意味合いに中国が強く反発する可能性がある。米台間に正式な外交関係はないが、AITは事実上の米大使館と受け止められてもいる。

国務省の要請は数週間前になされたが正式にはまだ承認されておらず、同省と海兵隊の間の調整が続けられているという。認められた場合、海兵隊が台湾内の米外交関連施設の警備に当たるのは過去約40年で初めてとなる。

「1つの中国」原則を主張する中国外務省の報道官は先月29日の記者会見で、今回の問題に触れ、米側に慎重な対応を要求。米国は「1つの中国」原則を厳密に順守すべきとし、台湾側との公的な交流もしくは軍事的な接触は一切控えるのが中米関係の政治的な前提条件であると主張した。

一方、国務省の報道担当者はCNNの取材に対し外交関連施設や要員保護に関する特定の問題には触れないとの原則に言及し、AIT事務所への海兵隊派遣の要請の事実確認は避けた。

AITは1979年制定の米国内法「台湾関係法」の一環として設立。中国との国交樹立、台湾との断交を受けた措置だった。ただ、米国は台湾の将来的な地位に関しては公式的な立場表明は避けており、当事者による一方的な現状変更には反対するとの姿勢のみを打ち出している。

米国在台協会の台北事務所の新庁舎は先月完成し、開所式典には国務省代表も列席し、中国外務省の非難を招いてもいた。新庁舎で勤務する職員は約450人。仮に海兵隊兵士が警備の任に就いた場合、大人数ではなく10人以下になるともみられる。

同協会は先月27日、キャリア外交官が台北事務所の新たな責任者として今年の夏に着任する人事も発表していた。

トランプ政権が誕生後、米台関係は緊密化が目立ち始めていた。トランプ氏は就任前、台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統による大統領選当選の祝意を伝える電話に応じる異例の対応も示していた。米国の次期大統領が台湾総統からのこの種の電話を直接受けるのは初めてだった。

アジア太平洋を管轄する米インド太平洋軍によると、兵器の売却や維持管理、訓練や交流などを含む米台間の堅固な安全保障面での協力態勢は米国在台協会を通じて維持されている。米国は台湾に対し台湾関係法に基づいて最新兵器の売却も続け、中国がいら立つ材料ともなっている。

米中関係は最近、緊張化の度合いを強めている。多国・地域間の主権論争が長引く南シナ海で中国が強める軍事拠点化の動きが一因ともなっている。

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