ワシントン(CNN) 米連邦最高裁は26日、トランプ政権が大統領令でイスラム圏などからの入国を規制した措置について賛成5、反対4で支持する判決を下した。
保守派の判事5人が入国規制を支持し、リベラル派4人が反対した。
最高裁が審理していたのは、トランプ政権が昨年9月、大統領令に基づく3度目の改訂版として発表した入国規制措置。イラン、シリア、リビア、イエメン、ソマリアと北朝鮮、ベネズエラの7カ国を対象に、国ごとに異なる入国規制を課す内容だ。当初はチャドも対象に入っていたが、安全基準を満たしたとして最近除外された。
ロバーツ最高裁長官は多数意見の中で、規制措置は「大統領権限の範囲内にある」と断言した。
トランプ氏は国家の安全を守るという大義の下、移民法上の大きな権限を認められたことになる。反対派は、トランプ氏が大統領選前に「イスラム教徒の入国禁止」を訴えていたことを指摘し、特定の宗教に対する差別を意図した措置だと論じてきたが、この主張は退けられた。
トランプ氏は判決の直後、ツイッターに「最高裁がトランプの渡航禁止令を支持。すごい!」と書き込んだ。さらに「米国民と合衆国憲法の大勝利だ」「メディアや民主党政治家からのヒステリックな発言が何カ月も続いたが、こちらの正しさが完全に証明された」とツイートした。
トランプ氏は就任直後の昨年1月に入国規制の大統領令を出し、3月にもその改定版を発表したが、いずれも下級審で執行差し止めが認められていた。
リベラル派のソトマイヤー判事は反対意見で、判決は米国内の宗教的少数派をよそ者扱いする内容だと主張。第2次世界大戦中に日系人の強制収容を支持した最高裁の判断にも匹敵すると述べた。これに対し、ロバーツ長官は最高裁として初めて、当時の判断は誤りだったとする異例の宣言を出した。
米自由人権協会(ACLU)で移民の権利擁護を担当するジャドワト氏は26日の判断について、「最高裁の大きな誤りの一つとして歴史に残るだろう」と述べた。
米民主党全国委員会のペレス委員長も「差別は国家安全保障戦略でなく、偏見は愛国心ではない」と批判した。
米連邦最高裁、トランプ氏の入国規制措置を支持