トランプ大統領の「米韓演習中止」発言 勝者は中国か

米韓演習中止による「勝者」は中国との見方も

2018.06.14 Thu posted at 13:04 JST

(CNN) シンガポールで開催された史上初の米朝首脳会談が終わり、中国にとっては、長年にわたる希望がかなえられた形となった。米韓による軍事演習の中止だ。それだけではなく、トランプ米大統領は在韓米軍を朝鮮半島から撤収する可能性も示唆した。

米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のチャイナ・パワー・プロジェクトの責任者、ボニー・グレーザー氏は「中国にとっては大きな勝利だ」と指摘する。

同地域における米軍の規模の縮小は何年にもわたり中国が目指してきた政治的目標だった。特にオバマ前米大統領がアジア重視の姿勢へと方針転換したことについて、中国政府はこれを中国の台頭を封じ込めようとする取り組みだとみなしていた。

中国政府は、アジア地域に広がる米国の同盟国と摩擦を繰り返してきた。東アジアでは特にそうで、日本と韓国には米軍が駐在している。在韓米軍の規模は約2万8000人。在日米軍の規模は約4万9000人。

トランプ大統領は米朝首脳会議後の記者会見で、米韓による軍事演習を「戦争ゲーム」と呼び、中止に言及した。

専門家からは、限定的であっても軍事演習の中止は中国政府にとっては歓迎するものだろうとの見方が出ている。

CSISのグレーザー氏は、中国政府が、演習の中止について、将来的な米軍の朝鮮半島からの撤退につながると考えるかもしれないと指摘。より良いのは米政府と韓国政府との間に対立関係が生まれることだという。

マティス長官は、中国の動きを念頭に「米国はインド太平洋地域にとどまる」と発言していた

グレーザー氏は「もし、こうした演習を終わりにすれば、韓国の人々は、なぜ米軍がいるのかと考え始めるだろう」と述べた。

ただ、トランプ大統領の発言は軍幹部のこれまでの発言と立場を大きく異にしている。

マティス国防長官は6月初め、シンガポールで開催された安全保障関連の会合で、南シナ海などでの中国の動きを念頭に、「誤解のないように。米国はインド太平洋地域にとどまる。この地域は我々の主要活動領域だ」などと発言していた。

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