はしかがロシアで猛威、W杯観戦者はワクチン接種を WHO

W杯開幕が間近に迫ったロシア。はしかの流行に注意が必要だという

2018.06.11 Mon posted at 15:44 JST

(CNN) 今週開幕するサッカー・ワールドカップ(W杯)のロシア大会。現地を訪れるサッカーファンは白熱した試合を楽しみつつも、現地で感染が広がりつつあるはしかに警戒する必要がある。世界保健機関(WHO)がこのような見解を発表し、確実にワクチン接種を行うよう呼びかけている。

ウイルス性の感染症であるはしかは呼気やせきによって人から人へ感染する。発熱、発疹といった症状が現れ、死に至る場合もある。WHOの欧州地域事務局でワクチン予防可能疾患のためのプログラムを統括するロブ・バトラー氏によれば、近年のワクチン接種レベルの低下を受け、ロシアを含む欧州全域ではしかの感染が拡大しているという。

同氏は「過去10年間、欧州ではワクチンで予防可能な感染症の再流行が起こっている。はしかもその1つで、2017年には症例が4倍に増えた。18年もその傾向が続くとみられる」と述べた。

17年には欧州全域で2万人以上がはしかに感染し、少なくとも35人が死亡した。最も被害が大きかったのはウクライナとルーマニアで、後者では17年に5000件を超える感染が報告されたという。

ロシアでもはしかは猛威を振るっており、今年に入ってからの感染報告は800件を超えた。まだ患者が死亡した例はないとしながらも、バトラー氏は「ロシア国内で感染が広がっているのは確実だ」「健康状態のチェックやワクチン接種を行っていない人には誰でもリスクがある」と警鐘を鳴らす。

最近はしかの大流行が起こったドイツやブラジルなどからも多くのサポーターが訪れるとみられることから「出発前に個々人が健康状態を確かめることが極めて重要になる」という。

世界中から多くの観客が訪れるW杯では、はしかの感染リスクが高まるとみられる

米ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院で分子微生物学などを専攻するダイアン・グリフィン教授は、さまざまな国から人が集まるW杯のような巨大スポーツイベントについて、はしかが流行するうえで絶好の環境を提供すると指摘する。

WHOのバトラー氏は「万が一感染してしまった場合は、自国や他の国にウイルスを持ち込まないようにするのも非常に大切になる」と説明。その上で「重要なのはW杯に行こうが行くまいが、誰もがワクチンを確実に接種することだ」と強調した。

W杯ロシア大会は今月14日に開幕し、来月15日までの日程で行われる。

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