(CNN) 北朝鮮で拘束中の米国人3人の解放に向けて期待が高まっている。ただ、3日の時点では3人の状況は依然として不透明だ。
トランプ米大統領は2日夕、拘束中の米国人に触れ「乞うご期待」とツイート。3日にはホワイトハウスでのイベントで、近く「非常に良い発表」を行うと述べたが、具体的な内容は明かさなかった。
トランプ氏個人の法律チームの一員であるジュリアーニ元ニューヨーク市長は3日朝、同日中に解放が実現すると予告。「金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は我々に大変感銘を受けており、今日3人を解放するつもりだ」と述べた。同氏は米政権メンバーではない。
トランプ米大統領や政権外の協力者は期待感を高めようと試みており、解放が実現すれば米朝首脳会談を前にトランプ氏の交渉力の証しになると位置づけている。
交渉状況に詳しい当局者はCNNの取材に、解放は「間近だ」としている。
しかし専門家や一部の政府関係者の間では、解放を祝うのは時期尚早かもしれず、北朝鮮政府に誤ったシグナルを送ることになりかねないと懸念する声も出ている。
3人の米国人をめぐっては、労働教化所から平壌市内のホテルに移送されたとの報道もあり、ホワイトハウスや国務省では当局者が状況の確認に当たっている。
ホワイトハウスのサンダース報道官は3日、「解放の報道に関する妥当性はいずれも確認できていない」とした上で、北朝鮮が米朝首脳会談を前に3人を解放すれば「善意のしるしと受け止める」と述べた。
拘束されている3人はキム・ドンチョル、キム・ハクソン、キム・サンドクの各氏。キム・ドンチョル氏はトランプ氏の大統領選出前から抑留されている。他の2人は昨春、金正恩政権に対する「敵対行為」を働いたとして拘束された。
政府関係者の一部は、解放に関する報道が政府の公式発表ではなく個人弁護団の一員にしか過ぎないジュリアーニ氏などから漏れ出ることに不快感を示している。
3月まで北朝鮮担当特別代表を務めたジョセフ・ユン氏は、トランプ氏の個人的な側近が解放の完了前にそれを喧伝することに懸念を表明。「どんな臆測も誤ったシグナルを送り、それを台無しにする可能性があるからだ」と語る。
同氏は昨年6月に訪朝し、解放交渉をするもオットー・ワームビアさんの解放しか実現できなかった。ワームビアさんは意識不明のまま帰国し、その後間もなく死亡した。