受け継がれる腎臓、3人目の患者に移植 米大学病院

手術を執刀するジェフリー・ビール医師(写真右)

2018.04.26 Thu posted at 12:54 JST

(CNN) 10代の少女から20代の男性に移植された腎臓が昨年、さらに高齢の女性へと引き継がれ、今も正常に機能している。担当医は、移植を待つ多くの患者のために腎臓の「再利用」を進めるべきだと主張している。

アフリカ系米国人のバーティス・ボイスさん(70)は10年近く透析を続けていたが、昨年7月に米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で腎移植を受けた。提供者は交通事故で死亡した24歳の中南米系男性だった。この腎臓は2015年に17歳の白人女性から男性に移植されていた。

移植を手掛けたジェフリー・ビール医師は「移植を受けた患者が亡くなり、腎臓はまだ機能しているという場合、その腎臓を捨ててしまう必要はどこにもない」と力説する。今回のケースも腎臓は若く、まだ何年も使えると判断した。

米国内で現在、腎移植を待つ患者は9万5000人に上るとされる。死亡した提供者から腎臓を受け取る順番が来るまでには通常5~10年かかり、待機中に亡くなる患者もいる。

一方で腎移植を受けた患者の約25%は、腎臓の状態が良好なまま別の原因で死亡する。これをさらに次の患者へ移植する体制が確立すれば、提供される腎臓の不足を補うことができる。

ビール医師と腎臓移植を受けたバーティス・ボイスさん(写真右)、提供者の親族2人(前列)

ビール医師らのチームはこの1年間に「再利用」の腎移植を3例成功させた。患者らは全員順調に回復し、腎臓も正常に機能している。

ボイスさんは今年3月、提供者の母親や姉妹と対面した。母親はボイスさんの腹部に手を当てて涙ぐみ、スペイン語で「私の息子」とつぶやいていたという。

ボイスさんはCNNとのインタビューで、腎臓が肌の色の違いを超えて受け継がれてきたことを指摘。「私にとって、全ての腎臓は同じピンク色」と語った。

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