安倍首相が訪米、トランプ氏と会談へ 対北や貿易が焦点か

安倍首相とトランプ大統領=17年2月

2018.04.17 Tue posted at 16:39 JST

(CNN) 安倍首相は17日から米国を訪問し、フロリダ州でトランプ大統領と会談する。国内外で課題を抱えている安倍氏としては、ぜひとも政治的得点を挙げたい重要な機会だ。

安倍氏は北朝鮮への強硬姿勢を主張してきたが、トランプ氏が突然、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談する意向を表明したことで、はしごを外される形となった。米国と韓国がそろって対北融和路線に転じるなか、安倍氏はこれ以上取り残されるわけにいかず、自身も正恩氏との会談に向けて動き出した。

安倍氏は2016年の米大統領選でトランプ氏が当選した後、外国首脳として初の会談相手になった。その後も同氏との親交を深めてきたが、貿易問題では立場の違いが浮き彫りになっている。

国内では数カ月前から、私立学校の土地取得をめぐる不正疑惑で追及を受けてきた。東京の国会議事堂前では14日、安倍氏を「うそつき」と呼んで退陣を求めるデモが展開された。

共同通信社による最新の世論調査で、安倍内閣の支持率は前回比5.4ポイント減の37%と、12年の発足以来2番目に低い水準を記録。与党・自民党が9月に予定している総裁選で安倍氏続投を望むとの回答は18.3%と、初めて20%を切った。

党内と世論の両方から圧力を受ける安倍氏がこのまま政権を維持できるかどうか、疑問視する声も上がっている。

安倍氏は渡米後、フロリダにあるトランプ氏の別荘で首脳会談に臨む。米ホワイトハウスは声明で、両首脳が「米日間の公平で互恵的な貿易、投資関係の拡大」を図ると述べた。

トランプ氏は会談で、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限や、環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰をめぐって日本への譲歩案を示す可能性もある。だがそれと引き換えに、日本側にも何らかの妥協を迫るのは必至とみられる。

国会前で安倍首相の退陣を求めて行われたデモ=4月14日

安倍氏は就任以来、安全保障政策に重点を置いてきた。北朝鮮のミサイル実験に対する強硬姿勢は、昨年の総選挙で自民党圧勝の大きな要因となった。同氏が念願としてきた、自民党の存在を明記する憲法改正も、この圧勝で道が開けたかに思えたが、発議には至っていない。

対北朝鮮政策では、米韓など同盟国の中で日本だけが孤立しているとの指摘もある。

日本にとって大きな不安要素のひとつは、米国が北朝鮮から大陸間弾道ミサイル(ICBM)廃棄への同意を取り付けても、日本を射程に収める短・中距離のミサイルは残るのではないかという可能性だ。

朝鮮半島情勢も主要な議題となりそうだ

安倍氏はトランプ氏との会談で、北朝鮮に短・中距離ミサイルの廃棄も求めるよう働きかける構えだが、米国側が応じるかどうかは不透明だ。

英経済誌エコノミストの調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のアジア部門を率いるダンカン・インネス・カー氏によると、朝鮮半島の非核化に向けた米国、中国、北朝鮮の交渉には韓国の声さえ届きにくいことがある。

同氏は「日本を意識的に外そうとしている者がいるかどうかは明らかでない。しかしだれも積極的に仲間に入れようとしていないことは確かだ。結果として、日本の希望は優先順位を下げられてしまうだろう」と指摘している。

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