中国、バヌアツで軍事基地協議の報道 豪州首相は否定

南太平洋のバヌアツで、中国が軍事基地創設の協議を進めているとの報道が浮上

2018.04.12 Thu posted at 17:37 JST

(CNN) オーストラリアのターンブル首相は12日までに、南太平洋のバヌアツで中国の軍事基地創設の協議が進められているとの一部報道を受け、豪州政府は南太平洋での外国軍基地の建設には大きな懸念を抱くだろうとの考えを示した。

10日の会見で述べた。ただ、駐豪バヌアツ大使は中国側から軍事的存在感を高めるような要請は受け取っていないと豪州政府に明言したとも述べた。

この問題では豪州のフェアファクス・メディアが同日、最初に報道。テレビ局「ナイン・ニュース」も国防省高官の発言を引用し、中国政府はバヌアツでのより踏み込んだ軍事進出に疑いなく関心を示したと報じていた。

バヌアツのレゲンバヌ外相はこれらの報道を否定し、同国の非同盟政策などに言及し、いかなる形でも国内の軍事基地には関心がないと強調していた。中国外務省報道官も定例会見で「フェイク(偽)ニュース」と一蹴(いっしゅう)していた。

小さな島しょ国家であるバヌアツの人口は約28万2000人。豪州沿岸部から2500キロ以下に位置し、豪州からの大規模援助に長年頼ってきた。ただ、近年は中国から数億ドル相当の財政支援が流れ込んでいる。

南シナ海で演習を行う中国海軍の空母戦闘群=2017年

中国はバヌアツで基幹のインフラ基盤整備にこれまで注力。エスプリツサント島では中国企業が長さ300メートルの岸壁などを建設した。大型客船1隻などが接岸出来る。

中国が同国に軍事進出の足がかりを得た場合、豪州やニュージーランドだけでなく米国にも安全保障戦略の見直しを迫られる可能性もある。豪州シドニーのシンクタンク「ローウィー研究所」幹部はバヌアツが恒久的な軍事基地に合意することは有り得ないとしながらも、軍用にも使用出来る民間施設が中国海軍艦船の随時の寄港につながることは想定出来ると指摘した。

中国は近年、東アジア地域以外への海洋進出が目立つ。アフリカ北東部ジブチでは中国初の海外軍事基地を昨年設け、スリランカでは99年間にわたる港湾使用権を得た。南太平洋諸国への援助攻勢も加速し、2000〜12年の間に約30の主要事業を域内で支援してきたとされる。

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