ネット通販から聖書が消えた 宗教統制強める中国

中国政府が宗教に対する統制を強めている

2018.04.06 Fri posted at 12:11 JST

(CNN) 中国政府が宗教に対する統制を強めている。インターネットの通販サイトでは、キリスト教の聖書が入手できなくなった。

聖書の販売はこれまでも政府の規制がかけられ、印刷や販売ができるのは国の認可を受けた教会のみとされていた。それでもここ数年は、インターネット通販でも購入できるようになっていた。

しかしその抜け穴はふさがれたらしい。中国の通販サイト「JD.com」で「聖書」を検索しても、結果は表示されなかった。中国版のアマゾンでは、聖書そのものは見つからず、参考書やコーランが表示された。

中国最大の通販サイト「淘宝(タオバオ)」で表示されたのは、「離乳食バイブル」「自己免疫疾患治療バイブル」などの検索結果のみ。ただ、子ども向けの聖書の物語のイラスト本など、関連商品はまだ表示されていた。

ネット通販業者2社はCNNの取材に対し、今も私的なメッセージを通じて聖書を販売することはできるかもしれないと説明した。ただ、淘宝に公然と聖書を掲載することはできなくなったという。

国際人権団体フリーダムハウスの研究員サラ・クック氏によると、中国当局はハイテク技術を使って宗教に対する統制を強め、インターネットで情報を交換している信者の監視や逮捕を行っているという。

中国では中国仏教、イスラム教、カトリック、プロテスタント、道教の5宗教が公認されているが、宗教活動は政府による厳しい規制がかけられ、公的機関によって監督されている。

専門家によると、中国政府による宗教統制は今、大きく転換しつつある。民族・宗教問題の管轄は最近になって、中国共産党の中央統一戦線工作部に引き継がれ、党による社会統制が一層強まった。

政府はこのほど発行した宗教の自由白書の中で、信教は「社会主義社会に順応しなければならない」と規定した。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの研究員ウィリアム・ニー氏は、「習近平(シーチンピン)国家主席の下で、宗教、特にキリスト教に対する統制を強化する傾向が広がっている」と指摘する。

中国国家宗教事務局がこのほどまとめた5カ年計画によれば、文言を「中国化」した、新しい中国語版の聖書の発行に向けた取り組みも進んでいる。

「公式な新解釈を打ち出すために聖書が排除されたとすれば、我々が目の当たりにしてきたイスラム教やチベット仏教などの聖典を能動的に解釈しようとする中国共産党の広範な取り組みと一致する」。フリーダムハウスのクック氏はそう解説している。

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