教育現場向けの新型iPad、グーグルの牙城を崩せるか

米アップルが教育現場向けの新しいiPadを発表した

2018.04.02 Mon posted at 18:10 JST

サンフランシスコ(CNNMoney) 米アップルは先ごろ、米シカゴで、教育現場向けの新しいタブレット端末「iPad(アイパッド)」を発表した。価格は326ドルで、入力用のペン「アップルペンシル」(99ドル)も用意した。学校での利用なら割引価格が適用され、生徒たちは新しいiPadで芸術や歴史を学べるほか、バーチャルのカエルの解剖も行える。

アップルは教育市場への進出を狙っているが、2つの壁が立ちはだかっている。グーグルが展開している安価なタブレット端末「クロームブック」と、公立学校における厳しい予算状況だ。

グーグルのOS「クローム」で稼働するクロームブックは安価で、低価格モデルだと150ドル前後だ。グーグルは教育機関向けの無料のグループウエア「G Suite」なども用意している。

非営利団体「テクノロジー・フォー・エデュケーション・コンソーシアム」の最高経営責任者(CEO)ハル・フリードランダー氏によれば、クロームブックは導入が容易なほか、学校のテクノロジー関連のインフラに対する要求も少ない。

5年前、グーグルはアップルを追い抜いて、米国の学校で最も推奨されるテクノロジー企業となった。

フューチャーソース・コンサルティングによれば、学校向け携帯端末の約60%をクロームブックが占める。マイクロソフトとアップルはそれぞれ約20%の市場シェアを押さえているがマイクロソフトがわずかにリードしている。

iPadよりもクロームブックが選ばれる背景には、子どもたちが、より創造的なアプローチか、あるいは実用的なアプローチか、どのように学習を行うべきなのかといった教育現場での考え方を反映しているといえそうだ。

米アップルが教育現場向けの新しいiPadを発表した=Apple/CNNMoney

フューチャーソース・コンサルティングのアナリスト、ベン・デービス氏によれば、アップルは学習に対する創造的なテクノロジーへ投資する顧客をターゲットにしてきた。一方で、クロームブックは、デジタル生産性を教室に取り入れたり、オンラインでの試験を支援したりするための方法を手ごろな価格で提供することを優先している。

アップルの教育分野での歴史は長く、子どもたちが好む質の高い製品群を生み出すという名声も得ている。しかし、多くの学校では、購入に際しては依然として価格が最初に検討される。

テクノロジー・フォー・エデュケーション・コンソーシアムのフリードランダー氏は、アップルが個人向けのテクノロジーに持ち込んだような変革を教育現場に導入することができなければ、価格で競争せざるを得なくなるだろうとの見方を示している。

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