始祖鳥は飛べた? 現代の鳥と違う羽ばたき、X線で解明

始祖鳥は飛べたのかどうか、X線での研究がすすめられている=ESRF/Pascal Goetgheluck

2018.03.14 Wed posted at 13:25 JST

(CNN) 鳥のような姿をした恐竜の始祖鳥は、実際に飛ぶことができたのか――。これは化石の研究者が150年以上にわたって解こうとしてきた謎だった。

始祖鳥の化石は主にドイツで出土する。石灰岩の中から採掘しようとすると骨格が崩れてしまうため、詳しい調査は難しい。

しかしフランスにある欧州シンクロトロン放射光研究所(ESRF)のX線画像技術を使えば、化石を壊すことなく骨格の特徴を可視化できる。研究チームはこの手法を使って始祖鳥の化石を詳しく調べ、13日の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに研究結果を発表した。

鳥類は恐竜から進化したことが分かっており、始祖鳥はその進化の過程にいる。始祖鳥は最古の鳥類の7500万年前から生息していて、鳥のような翼をもっていたが、空を飛べたのかどうかは分かっていなかった。

しかしESRFなどの研究チームがX線技術を使って始祖鳥の腕の骨格を調べた結果、予想以上に現代の鳥類に似ていることが分かった。「短距離を飛ぶ現代の鳥と始祖鳥との違いに比べると、現代の飛ぶ鳥の間の違いの方がずっと大きい」とESRFの研究者は述べ、「始祖鳥の骨格では現代の鳥のような羽ばたきはできないものの、この類似性は、始祖鳥の飛行を裏付ける証拠として、過去150年の研究の中で最も有力だ」と解説する。

始祖鳥の腕の骨格は中が空洞だったことが判明。これは飛ぶ鳥や翼竜に特有の骨格で、始祖鳥が飛行できたことをうかがわせる特徴だという。

研究者によれば、骨格を統計的に比較すると、始祖鳥はキジやミチバシリなど地上にすむ鳥に近い。従って、始祖鳥も天敵から逃げたり、距離が近い別の場所へ移動したりするために飛ぶことができていたと考えられる。

研究結果をもとに描かれた始祖鳥のイメージ図

始祖鳥が生息していた約1億5000万年前のジュラ紀には、現在のドイツ南東部は熱帯の群島だったことから、始祖鳥が島から島へと飛んでいた可能性もある。

始祖鳥の羽ばたきについては、肩の骨格の構造が原始的で、胸骨が飛翔筋を支える構造になっていないため、翼を背中より上に上げることは恐らくできなかったと思われる。

それでも肩帯によって、チョウのように前方から上方への羽ばたきと、後方から下方への羽ばたきを繰り返すことはできたと研究チームは推定する。この説を裏付けるためにはさらなる研究が必要だという。

しかし現代ではこうした飛び方をする鳥はいない。効率が悪かったことから、こうした飛び方をする種は、やがて絶滅した。

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