(CNN) インド有数の名建築の宝庫であるジャイプール。国内で最も華麗な王宮を擁しており、数百年前に設計された精巧な建物が今でも訪問者を魅了している。
建物の多くは1700年代、ラージプート族の統治者サワイ・ジャイ・シング2世の命令で建設された。周囲は市壁や防御用の要塞(ようさい)が取り囲んでいる。ラジャスタン州の商業の中心地として構想され、格子状の都市計画を採用したことから時代に先駆けた場所と考えられていた。
ロマンチックなくすんだピンクに彩られたのは1876年。アルバート王子を迎えるにあたり塗装が施された。これによりジャイプールは「ピンクシティー」の通称で知られている。
香港を拠点にする写真家、ビクター・チェン氏とサマンサ・ウォン氏がジャイプールを訪れたのは、こうした建築美に引かれたのがきっかけだ。
2人はインスタグラムで13万人のフォロワーを持つが、ジャイプールで撮影した画像はインターネット上でかつてない反響を呼んだという。
チェン氏は、「ジャイプールの写真に対する反響は驚くべきものだった」「フォロワーの多くはインドのこうした側面を目にしたことがなかったので、こういった側面を見せることができてうれしい」と話す。
2人にとって、ジャイプール最大の魅力のひとつは建物のパステルピンクの色彩だ。
「市内に入る際に最初に目にする門はピンク色だ」「市中を回ってみると、周囲のあらゆる物が鮮やかなピンクから赤みがかった茶色まで、さまざまな色調に変化していく」(ウォン氏)
ソーシャルメディアで特に好評を博したのが、ピンクの宮殿ハワマハルだ。
この建物はシティーパレスを拡張したもので、王族の女性は公の場に出ずとも窓から市井の生活を観察することができた。チェン氏の写真の1枚は、建物の正面とそこに設けられた数百の窓をとらえている。
チェン氏は、「撮影は簡単ではなかった。通りの向かいに屋根を備えたコーヒー店があったが、完璧なショットを撮るためには人々がいなくなるまで1時間以上待たなくてはならなかった」と振り返る。
この建物の精彩に富んだ色合いもあり、チェン氏は他の都市の画像とは異なる手法で編集に臨んだ。
「ピンクが非常に鮮やかで臨場感にあふれていたため、通常の編集プロセスは抑え気味にした」「自分が目にしていた実際の色を写真に反映させ、その色調を保ちたかった」
同市の基礎となる建物はラジャスタン様式で建設された。ヒンドゥーのラージプート建築の技術と、ムガールのデザインのシンメトリー(対称性)を融合させた様式だ。
チェン氏は、「建物の多くは対称性が非常に高い設計で、写真家の視点からするとうってつけだった」と話す。
精緻(せいち)なシンメトリー構造の建物に囲まれ、撮影などに当たってはほとんど苦労しなかったという。
「ただ中央に立っていさえすれば、カメラで完璧に対象をとらえることができた。建物や色彩のおかげで簡単に完璧なショットが撮れた」