北朝鮮有事は「最も差し迫った脅威」 米国家情報長官

コーツ国家情報長官。紛争の危険性について冷戦時代以来の水準にあるとの見方を示した

2018.02.14 Wed posted at 14:47 JST

ワシントン(CNN) コーツ米国家情報長官は13日、上院情報特別委員会の公聴会で証言し、世界で紛争の危険性が冷戦時代以来のレベルに達しているとの見方を示した。

コーツ氏は今後1年間の最も差し迫った脅威として、北朝鮮での有事やサウジアラビア対イランの代理戦争を挙げた。同時に、国家や非国家主体が大量破壊兵器を使用する可能性も引き続き拡大するだろうと述べた。

ロシアと中国を含む敵対国や「悪意を持った」組織が、サイバー戦や情報戦などさまざまな手法を使って米国の影響力を抑えようとする動きも予想されると指摘した。

ロシアが今年秋の米中間選挙を狙っているとの見方は、米情報機関全体に共通しているという。

コーツ氏と、中央情報局(CIA)のポンペオ長官、国家安全保障局(NSA)のロジャーズ局長、連邦捜査局(FBI)のレイ長官、国防情報局(DIA)のアシュリー長官、国家地理空間情報局(NGA)のカーディロ長官の全員が、ロシアは16年の米大統領選に介入し、今年も同様の介入を試みるとの認識で一致した。

ロシアは過去の成功例を基に、ソーシャルメディア上の宣伝作戦やなりすまし作戦などの手段を使って米国内の社会的、政治的分断を狙うことが予想されるという。

これに対して委員会のメンバーからは、ロシアの脅威に対応するために、まず同国が大統領選に介入したという結論をトランプ大統領が受け入れるよう説得する必要があるとの意見が出た。

ポンペオ氏は、米国には他国による選挙介入に対抗する能力があるとしたうえで、詳細については非公開の会合で説明すると述べた。

コーツ氏らは続いて、核・ミサイル開発を放棄しようとしない北朝鮮の問題に言及した。

平昌五輪での融和ムードとは関係なく、北朝鮮は引き続き核開発を進めるという

北朝鮮は今年も引き続きミサイル実験を強行するとの見通しを示し、大気圏核実験や長距離核ミサイル配備への懸念、通常兵器の強化が韓国や日本に及ぼす脅威を指摘。平昌(ピョンチャン)五輪への代表団派遣で高まる融和ムードとは裏腹に、核開発を続ける北朝鮮の意図には何の変化も起きていないと強調した。

ポンペオ氏によれば、CIAは米国が北朝鮮に先制攻撃を仕掛けた場合や、攻撃せずに核開発の続行を許した場合に何が起きるかをケース別に分析している。同氏はまた、北朝鮮を交渉の席に着かせるための方策も検討したが、詳細の公開は控えると述べた。

コーツ氏らはさらに、国家や悪意ある主体によるサイバー攻撃が今後さらに大胆に、巧妙になるとの懸念を示した。

同氏は今後1年間に米国へのサイバー攻撃で最大の脅威になる相手として、ロシアと中国、イラン、北朝鮮を名指しした。米国に対し、重要データの消去や局地的なインフラ妨害などの攻撃を仕掛けてくる恐れがあると警告した。

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