金利・債券・市場の「過熱」 NYダウ暴落の背景は

ダウ暴落の背景は?

2018.02.06 Tue posted at 12:37 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米株式市場でダウ工業平均が大きく落ち込み、2営業日で1800ドル以上の下落を見せた。ダウ暴落の背景には、政策金利引き上げに対する懸念や、過熱気味の株式市場といった要因がありそうだ。

1、政策金利引き上げへの懸念

株価は大統領選以降、堅調に値を上げていた。理由のひとつとしては力強い経済状況が挙げられる。失業率も過去最低の水準で低く、人手不足の業界もある。

企業の中には雇用者の引き留めや新規雇用に向けて賃金の引き上げを始めたところもある。企業は上昇する賃金をまかなうため最終的には商品価格を引き上げる必要が出てくる。経済学ではこれをインフレーションという。

およそ9年間にわたり米国経済は順調に成長を続けてきたが、インフレ率は不思議なほど低水準のままだった。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を引き上げて、インフレを抑えようとする。FRBは過去10年の間、大幅な政策金利の引き上げは実施できていなかった。金利引き上げが景気回復を阻害する可能性があり、物価下落につながるかもしれなかったからだ。

FRBは今年、3回の政策金利の引き上げを計画している。しかし、もしインフレ率が上昇すれば、計画よりも多く、急激に政策金利を引き上げることになるかもしれない。

2、上昇する金利

FRBが政策金利を引き上げれば、借り入れにかかる費用が増大する。これはつまり、企業の借り入れに対する支払いが増えることを意味し、企業利益の減少につながる。これはまた、住宅ローンなどに対する一般市民の支払いも増えることを意味する。

金利上昇や債券市場に対する懸念も背景にありそうだ

この1年間、株価が順調に上昇していたのは企業の収益が堅調に伸びていたからでもある。企業が健全で、投資家は株価の上昇から恩恵を受けていた。

金利が急激に上がると、株価はたいてい下落する。投資家が企業収益について減速するだろうと懸念するためだ。

3、債券市場に対する懸念

株式市場が活況を呈しているのは、そこが、それなりのリターンが得られる数少ない投資先のひとつだからだ。もし、債券の利回りが上昇し始めれば、投資家は資金の一部を株式から、より安全な資産である債券へと振り向けたいと考えるだろう。

実際、債券の利回りは2日に過去4年で最高の水準となった。先ごろの税制改革によって財務省はより多くの資金の借り入れを迫られている。このことが債券発行の増加につながる。供給が過剰になれば、債券の価値は下がる。債券の価格と利回りは逆の方向に動く。債券の買い手は、より高い利回り(価格は下落)の債券を求める。

インフレは債券にとっても良くない。もし借り入れの費用が上昇すれば、債券投資家はより多くのリターンを得ようとし、より高い利回りを求める。

魅力的な利回りを持つより安全な投資先があれば、株式市場の魅力はあせることになる。

過熱気味の株式市場にとって「冷却期間」は良いことかもしれない

4、過熱気味の株式市場

株価は16年11月以降、ほとんど右肩上がりの伸びを示してきた。そして、これは、完全に健全なことだとはいえない。専門家からは、株式市場は5~10%の下落もありうるとの見方が出ている。

「冷却期間」は良いことかもしれない。株価が下がり、投資家にとっては魅力が増す。

株式市場はようやく地に足をつけ始めたのかもしれない。投資家はこれが調整局面なのかどうか考えているだろう。

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