(CNN) 米カンザス州ウィチタで28日、いたずら通報で警察が出動し、自宅にいた男性を誤って射殺する事件があった。警察は29日、この件で指名手配した男をカリフォルニア州ロサンゼルスで逮捕した。
米国では犯罪に関する虚偽の通報を行い、大勢の捜査員や特別機動隊(SWAT)を向かわせる「スワッティング」と呼ばれるいたずらが相次いでいる。今回は人質絡みの事件に関する虚偽の通報があり、警察が出動していた。
ロサンゼルス市警によると、逮捕されたのはタイラー・バリス容疑者(25)。バリス容疑者は2015年にも、CNN提携局のKABCに爆弾絡みの脅迫で警察を出動させ、有罪判決を受けていた。
ウィチタ警察によれば、警官隊は28日、人質のいる状況を想定して出動。正面玄関に男性が現れたのを受け、警官の1人が発砲した。警察は男性が両手を腰の辺りに動かしたところで発砲したとしている。男性は搬送先の病院で死亡、武器は持っていなかったという。
バリス容疑者が通報の際にウィチタの民家の住所を知っていた理由は不明。同容疑者はインターネット上でスワッティングに言及。削除されたツイッターアカウントでは、今月22日にスワッティングをほのめかす文章も載せていた。
オンラインのゲームコミュニティーでバリス容疑者と知り合いだという人物はCNNに対し、同容疑者が事件後「愚かなことをした。するべきではなかった」と語っていたと明かした。
ウィチタ警察幹部は今回の件を「悲劇的で不条理」と形容。「いたずら犯の無責任な行動が人々の命を危険にさらした」と述べた。
スワッティングの手口が始まったのは少なくとも2000年代初頭にさかのぼる。米連邦捜査局(FBI)は08年に初めて市民に周知。標的となるのはセレブが多く、13年には12歳の少年がした虚偽の通報で俳優のアシュトン・カッチャーさんや歌手のジャスティン・ビーバーさんの自宅に警官が出動する騒ぎもあった。