(CNN) ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャが隣国バングラデシュへ大量に避難している問題で、バングラデシュ政府は6日までに、ロヒンギャ難民約10万人を無人島へ移送する計画を進める決定を下した。これに対して人権団体から懸念の声が上がっている。
バングラデシュのカマル計画相が、2億7800万ドル(約310億円)規模となる計画の詳細を発表した。それによると、難民は2019年11月までに、本土から約60キロ離れたベンガル湾のテンガルチャール島へ移送される。
バングラデシュにはもともと約30万人のロヒンギャが避難していたが、今年8月以降、新たに推定62万6000人がミャンマー軍による暴力を訴えて流入した。
ミャンマー軍はロヒンギャ迫害を否定しているが、国連人権理事会が5日に開いた特別会合では、ザイド人権高等弁務官がジェノサイド(大量虐殺)の可能性を指摘した。
国際社会ではバングラデシュが難民を受け入れてきたことが高く評価されたものの、移送計画には批判が集中している。
島の面積は約3万ヘクタールだが、雨季にはその大半が冠水し、現在居住者はいない。
計画では60ヘクタールの土地に1500棟近い仮設住宅と、120棟の避難所を建設することになっている。
バングラデシュのハシナ首相は先月28日に計画を承認したが、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルはその日のうちに「ひどい間違い」だとして撤回を求めた。
人権団体などから懸念を指摘されて海軍が実施した調査によると、冠水については土地の埋め立てや海岸線の護岸工事で対策が可能とされ、カマル計画相も「水害は防げる」と強調した。