食料や医薬品がイエメン到着、数週間ぶりに人道支援再開

支援物資を積んでイエメンに到着した航空機

2017.11.27 Mon posted at 12:41 JST

(CNN) 内戦が続くイエメンで、人道支援物資に対する国境の封鎖が解かれ、25日から26日にかけて食糧や医薬品などが到着した。支援再開は、サウジアラビアが11月初旬に国境封鎖を開始して以来。封鎖によってイエメンの食料不足は一層深刻化し、医薬品も底を尽きかけていた。

反政府武装組織「フーシ」が掌握する国防省によると、イエメンの実業家が保有する商船は、5500トンの小麦粉を積んで26日、同国のフダイダ港に到着した。

これとは別に、国連の世界食糧計画(WFP)の船舶も2万5000トンの小麦粉を積んで、27日にサリーフ港に入港する見通し。

これに先立ち25日には、赤十字国際委員会など援助団体の職員や、感染症予防のためのワクチン約190万回分(子ども60万人分)が到着していた。

WFPの担当官は、「深刻な飢えに苦しむ700万人のために、われわれは11月5日以前と同様に、このような定期的アクセスを必要とする」「食料を積んだ商船も、間もなくイエメンの港への入港が認められることを期待する。同国は食料の90%を輸入しており、飢餓を終わらせる手段はこれしかない」と指摘した。

国連児童基金(ユニセフ)によれば、食料や飲料水のための殺菌剤、下痢やコレラの予防と治療のための医療支援物資などもイエメンに向かっている。

ユニセフの担当官は26日の記者会見で、「ジフテリア予防と治療のために、もっと多くのワクチンが緊急に必要だ。定期的な予防接種のためのワクチンも同じくらい必要とされている。残念ながら、190万回分のワクチンが昨日届いても、在庫は尽きかけている」と危機感を募らせた。

イエメンではコレラの感染拡大が現代史上最悪の規模に達している

2015年から続くイエメンの内戦では、イランが支援するフーシと、サウジアラビアが支援する政府が対立。今月初め、サウジの首都リヤドの上空でイエメンからのミサイルが迎撃され、その直後に両国の国境が封鎖された。

国境の封鎖によってイエメンへの支援物資供給が断たれ、食糧や医薬品の不足が深刻化していた。

国際的な圧力を受けてサウジアラビアは13日、政府が掌握している港と空港については24時間以内に人道支援物資の受け入れを再開すると発表。2日後にはサウジ率いる有志連合が、イエメンの首都サヌアの空港と、要衝フダイダ港に対する封鎖を人道支援目的で翌日から解くと発表した。

ユニセフによると、イエメンではワクチンが残り少なくなり、予防可能な疾患のために10分に1人のペースで子どもが死亡している。緊急の人道支援を必要とする子どもは1100万人以上と推計される。

現代史上最悪規模のコレラの流行も発生。世界保健機関(WHO)によれば、今年4月下旬以来、イエメンでコレラの感染が疑われる患者は子どもを中心に90万人を超え、2000人あまりが死亡した。

WHOによると、2015年3月にイエメン内戦が始まって以来、今年9月中旬までの死者は8600人以上、負傷者は5万人近くに上る。国内の医療施設の半数以上は閉鎖され、市民の多くは医療から切り離されている。

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