(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は26日夜、ローマ法王として初のミャンマー訪問に向け、ローマを出発した。27日から3日間にわたって滞在し、同国の事実上の指導者アウンサンスーチー国家顧問やミンアウンフライン国軍最高司令官と会談する。
仏教国のミャンマーでは、少数派のイスラム教徒ロヒンギャに対する残虐行為が報告されている。世界のキリスト教徒を代表するフランシスコ法王はロヒンギャに対する暴力を、「兄弟姉妹」に対する迫害と呼んで非難していた。
専門家は法王のミャンマー訪問について、人道、外交、宗教を巡る複雑な問題の間で均衡を保つことが求められると指摘する。法王の側近の枢機卿からも、ロヒンギャ問題に踏み込むべきではないとする意見が出ている。
ミャンマー西部ラカイン州で軍と武装集団の衝突が激化した8月25日以来、国境を越えて隣国バングラデシュへ逃れたロヒンギャ難民は62万3000人を超す。
ミャンマー政府はロヒンギャに対する組織的な暴力を繰り返し否定してきた。一方、米国や英国、国連などはミャンマーによる民族浄化を非難。難民は一様に、殺人や強姦、村に対する放火などの被害に遭ったり目撃したりしたと証言している。
フランシスコ法王は27日にミャンマーに到着して3日間滞在し、30日にはバングラデシュへ移動して首都ダッカでロヒンギャ難民と面会する見通し。ローマ法王のバングラデシュ訪問は、1986年のヨハネ・パウロ2世以来となる。
ローマ法王庁の広報は22日の記者会見で今回の訪問について、「平和と寛容、和解のメッセージを届ける」と説明した。
フランシスコ法王はミャンマー滞在中、同国に約320万人いる少数派のキリスト教徒についても権利向上を訴える見通し。29日にはヤンゴン市内でミサを予定している。
しかしスーチー氏らとの会談やヤンゴン市内でのミサは、多数派の仏教徒の反発を招きかねないと危惧する声もある。
オーストラリアのローウィ研究所のアーロン・コネリー研究員は、「この問題に対する強硬姿勢を強めている主流派の僧侶が、抗議や非難、デモ行進を行ったりすれば、事態が一層緊迫化する可能性もある」「この問題に詳しい人の多くは、これが引き金となってさらに多くの暴力を招くことを危惧している」と指摘した。
フランシスコ法王、ミャンマー初訪問に出発