教師の地位が一番高い国はどこか<上> 各国で異なる教師の地位

2017年のグローバル・ティーチャー賞のトロフィーを受け取るカナダ人教師、マギー・マクドネルさん。航空機でしかたどり着けない北極圏の村で勤務している

2017.12.27 Wed posted at 19:01 JST

(CNN) 親が自慢の子どもを学校の門の前で降ろし、長年の勉強と宿題を終えた後には何を成し遂げてくれるのだろうかと夢想する――。そんな光景が世界中で繰り広げられているが、親は教師に対して、子どもの発達を促し、さまざまな可能性に満ちた世界へとその目を開かせる責務を託しているのだ。

これは非常に大きな責任だ。だがこうした責任は、教師の社会的地位や給料に反映されているのだろうか。

以下では、世界各国がどのように教師を評価しているのかを見ていく。

世界各国の教師の地位

英国の非営利教育団体、バーキー財団が2013年の研究で教師の社会的地位を調べたところ、アジアの多くの社会、特に中国、韓国、シンガポールでは教師への敬意が高いことが判明した。一方、大半の西欧諸国では教師への敬意が低かった。

バーキー財団が発表した「世界教員地位指数(GTSI)」によると、調査対象21カ国の平均では、教師は尊敬されている職業14種の中で7位にランクしており、ソーシャルワーカーや司書のすぐ上だった。

教師が医師と同等の高度な技能を有するとみなされていたのは中国だけだった。

バーキー財団が発表した「世界教員地位指数(GTSI)」に基づくランキング

21カ国における教師の社会的評価を比較したGTSIの作成者、ピーター・ドルトン教授は、教師の社会的地位は「特定の文化の歴史や価値観、慣習によって」変わってくると語る。

ドルトン教授は一例として米ニューヨーク市を挙げた。収入が重視されるニューヨークでは、教師がどれだけ稼いでいるかが社会的地位と相関している。

一方、年長者を敬うことが文化規範となっている中国では、教師は高給ではないが、より高い社会的地位が与えられている。

高度な教員養成訓練

フィンランドとシンガポールでは教育に対する取り組みが大きく異なっているが、両国とも世界で最も成功している部類の生徒を輩出している。

シンガポールは、15歳を対象に世界各国で行われる数学、読解、科学の試験結果に基づく学習到達度調査(PISA)のランキングで首位だ。この試験は、経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに実施しているもので、世界各国の学習到達度を測っている。

直近のPISAの結果を見ると、アジアの教育システムの優位性が目立つ。数学では7位までをシンガポール、香港、マカオ、台湾、日本、中国、韓国と、アジアの7つの国と地域が独占した。

PISAのランキングで上位に入っている中国・上海の教育現場

カナダは数学で10位、読解で3位、科学で7位となり、総合結果でアジア以外の国としては最上位となっている。またフィンランドは、数学で13位、読解で4位、科学で5位で、欧州では最上位国だった。

OECDの教育担当ディレクター、アンドレアス・シュライヒャー氏によると、これら上位の国々はそれぞれ大きく異なる教え方をしているが、いずれも教師という職に高い価値を与えている。

教師が素晴らしいキャリアを積めるフィンランドやシンガポールのほか、PISAのランキングで上位に入ったカナダも教育の質を非常に重視しているという。

次回「教師の地位が一番高い国はどこか<下> シンガポールとフィンランド、成功の秘訣」は12月28日公開

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