ロヒンギャ問題、「民族浄化」とは認定せず 米国務長官

米国務省のティラーソン長官(左)と握手するミャンマーの指導者アウンサンスーチー氏

2017.11.16 Thu posted at 15:02 JST

(CNN) 米国務省のティラーソン長官は15日、訪問先のミャンマーで、同国の事実上の指導者アウンサンスーチー氏との共同会見に臨み、少数派イスラム教徒ロヒンギャの住民虐殺が伝えられるラカイン州の状況について、独立した立場からの徹底調査を呼びかけた。

国連がロヒンギャ問題を「民族浄化」と位置付けていることについては、民族浄化と認定するためにはもっと情報が必要だとの見解を示した。

ティラーソン長官は会見の中で、「ミャンマー治安部隊による残虐行為横行が伝えられたことを非常に憂慮している」と述べ、「ラカイン州で起きた事態は多くの点で、人道に対する罪の性質をそなえる」としながらも、「民族浄化の全基準を満たしているかどうかについては、我々自らが判断する」とした。

支援団体によると、8月25日以降、ミャンマーから隣国バングラデシュへ逃れたロヒンギャは61万5000人を超す。

しかしティラーソン長官は、ミャンマー政府に対する広範な制裁を科したとしても事態は解決できないとの立場を崩さず、「我々が望むのはミャンマーの成功であり、民主主義の成功だ」と強調した。

今回の訪問でティラーソン長官は、難民支援のために4700万ドル(約53億円)の追加拠出を表明。これで8月以来、米国が約束した支援総額は8700万ドルになった。

共同会見ではスーチー氏も、「最も大切なのは、この国に平和と安定をもたらすことであり、それは法の支配の下でのみ実現できる」と強調した。

この問題について同氏が沈黙しているという批判については、「私は沈黙していない。だが扇動的な発言もしていない」と反論し、ティラーソン長官の訪問に謝意を表した。

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