ロンドン(CNNMoney) 世界のワイン生産量の半分以上を占めるスペイン、イタリア、フランスで、ブドウが異常気象の影響を受けて数十年ぶりの不作に見舞われている。一方、米国ではカリフォルニア州で山火事の被害が広がり、世界的なワインの品薄や値上がりが懸念される状況になった。
業界関係者によると、2018年にかけてワインの流通量は激減が予想される。特に低価格のワインは目に見えて減少する見通しだという。
欧州委員会は、今年の生産量は1982年以来、最悪に落ち込むと予想する。欧州のワインの生産量は、2016年に比べて14%少ない154億リットルにとどまる見通し。
世界最大の生産国イタリアでは21%減の約40億リットルに落ち込み、スペインとフランスもそれぞれ15%前後の落ち込みが予想される。
「生産国3カ国のうち1カ国が振るわない年は珍しくない。だが3カ国とも同時にこれほどの不作に見舞われるのは異例だ」と業界関係者は話す。
欧州のワイナリーでは今年春にかけてひょうや霜の被害が広がった。この被害を免れたワイナリーも、夏には干ばつに襲われ、特にイタリアのシチリア島では生産量が昨年に比べて3分の1減った。
異常な温暖の影響でブドウは成熟が早まり、例年より実が小さくなった。
既に一部の品種では、ワインの値段が最大で10%も上昇している。特にイタリアとスペインの低価格ワインは、生産量の低下を見越して5月ごろから目に見えて値上がりしていたという。
世界4位の生産国米国も、カリフォルニア州の山火事の影響で不足分は補えそうにない。
ワイナリーが集中するソノマ地区とナパ地区では、およそ90%の収穫は終えたものの、残るブドウの収穫は見込めない。