北朝鮮、米共和党関係者に接触 トランプ氏の真意探る狙いか

激しい非難の応酬を繰り広げているトランプ米大統領(左)と金正恩朝鮮労働党委員長

2017.09.29 Fri posted at 11:58 JST

ワシントン(CNN) 米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が非難の応酬を続ける中で、北朝鮮の当局者が密かに米与党共和党関係者に接触を試みている。その背景には、トランプ政権の真意を探ろうとする狙いがあると思われる。

複数の関係者によると、北朝鮮当局者はトランプ大統領が就任した今年1月以来、前政権との政策の違いを探る狙いで接触を試みるようになった。

共和党のレーガン政権と父ブッシュ政権時代の国家安全保障会議(NSC)メンバーだったダグラス・パール氏は、今年に入って複数回、北朝鮮の接触を受けたといい、「彼らは新大統領より優位に立ちたい意向だったが、そうはならなかった」と語る。

米中央情報局(CIA)の元調査員で北朝鮮に詳しいブルース・クリングナー氏は言う。「彼らは新政権下の米国の政策について、できる限りの情報をつなぎ合わせようとしている」「だがワシントンにいる我々でさえも、政策の内容について混乱や疑問が生じることがある。つまり、遠く離れたソウルや東京、そして平壌からワシントンについて見極めようとするのがどんなことかは想像の通りだ」

クリングナー氏は北朝鮮の国連代表部から、平壌での会談に招待されたという。この招待には応じなかったが、スウェーデンで6月に開かれた会議の最中に北朝鮮当局者と会談するなど、何度か北朝鮮当局者と接触した。

「彼らは政策の内容をはっきりさせ、レッドラインがどこにあるのかを見極めようとしている」。クリングナー氏はCNNの取材にそう語り、米保守層や共和党の関係者に接触を試みているのは、米朝の正式な外交交渉が存在しない中で、トランプ政権の真意を巡る混乱が生じている結果ではないかと推測する。

そうした接触は双方にとって情報収集の貴重な機会ではあるが、北朝鮮は正式なルートを通じて米政府との直接交渉に真剣な姿勢を伝える必要があるとクリングナー氏は強調した。

ただ、「北朝鮮は過去の会談に比べると、ずっと自信を強めている」と同氏は述べ、「非核化は論外であり、米国や韓国がどんな提案をしたとしても、それを変えさせることはできない」というのが北朝鮮の姿勢のようだと指摘する。

パール氏もまた、8月に会談の可能性について接触を受けた際、北朝鮮は譲歩する姿勢を見せなかったと語り、北朝鮮は核保有国になるまで止まらないだろうと予測している。

一方で、米ランド研究所の研究員ブルース・ベネット氏は、北朝鮮が共和党関係者に接触を続ける背景について、金委員長がトランプ大統領の罵倒に不意を突かれ、次の事態について真に憂慮しているためだとの見方を示す。

北朝鮮内部で「神のような」イメージを保つことに対するプレッシャーも、金委員長がトランプ大統領の意図を探ろうとする要因になっているかもしれないと同氏は述べ、「確かに金委員長は、トランプ大統領がどう行動するかに不安を感じているようだ。だがそれ以上に、トランプ大統領の言動によって、特に北朝鮮のエリート層に対する金委員長の地位が低下することに不安を感じている」と解説した。

米大統領、北朝鮮に「壊滅的な」軍事行動を警告

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。