ハリケーンから1週間も全土停電、物資届かず プエルトリコ

猛烈なハリケーン「マリア」の爪あと

2017.09.28 Thu posted at 13:21 JST

(CNN) 米領プエルトリコが猛烈なハリケーン「マリア」に直撃されてから、27日で1週間がたった。ロセジョ知事によれば、人口340万人のうち97%は今も停電に見舞われ、半数は水道も使えない状態にある。米本土から救援物資が届いても配送の手段がなく、島内の全域で食料や水が不足。燃料を使い果たした病院では患者が死亡する事態になっている。

住民は食料やガソリンを調達したり、現金を引き出したりするために何時間も行列に並ぶ。スーパーマーケットやガソリンスタンドは配給制になり、銀行の手持ちの現金は残り少なくなった。

ロセジョ知事は27日、「重点事項は必ずしも電力の復旧ではない。電力供給網は破壊され、再建が必要だ。だが1日や2日で再建できるものではない」と指摘した。

被害規模があまりに大きいため、必要な場所に支援物資を届けることも難しいと知事は言い、今回の事態を「プエルトリコの自然災害史上、最大の惨事」と形容した。

米領プエルトリコ島内の全域で食料や水が不足

支援を待つ住民は窮状に追い込まれつつある。ウトゥアド市に住む女性は、2人の孫のためにクラッカーを分け与え、雨水を飲み始めたといい、「水も食べ物もない」と訴えた。

今回のハリケーンではプエルトリコで16人、ドミニカで27人、米領バージン諸島で1人が死亡した。

復興に向けて、プエルトリコには米本土から支援物資が届きつつある。しかしトラック運転手やディーゼル燃料が不足し、道路が寸断されるなど島内のインフラも破壊されたことから配送が難しく、首都サンフアンの港には食糧や水などの救援物資が山積みにされたまま。ハリケーン以来、職場に戻ったトラック運転手は20%にとどまり、携帯電話がつながらないため連絡を取るのも難しい。

そうした中で27日には、水や食料やおむつなどを積んだ航空機が米フロリダ州からプエルトリコへ向かった。同機は普段、情報収集活動に使われている。米国防当局者によると、今後数日でさらに2000~3000人の部隊がプエルトリコに派遣され、支援活動に当たる。

車や発電機の燃料を求めてガソリンスタンドで行列をつくる人たち

全土で停電が続く中、燃料不足による死者も出ている。住民は発電機を使ってエアコンや医療機器、冷蔵庫などに電力を供給しているが、サンフアン市長によれば、市内の病院でディーゼル燃料が底を尽き、集中治療室に入院していた2人が死亡したという。

市内にあるカリブ海最大の子ども病院では、12人の子どもが人工呼吸器を装着されているが、25日にはディーゼル燃料を使い果たし、一時的に電池で人工呼吸器を稼働させる事態に追い込まれた。

幸い、数時間後に別の病院から燃料の提供を受けることができたが、それも2日ほどしかもたず、同病院は燃料の確保を急いでいる。

ガソリンスタンドには毎日夜明け前から、車や発電機の燃料を求めてプラスチック容器を持った人たちの行列ができる。

住民の絶望感が強まる中で、これまでに少なくとも60人が夜間外出禁止令違反で逮捕された。警察によれば、略奪や窃盗事件で逮捕された人は36人に上っている。

プエルトリコ、物資の不足が深刻

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