探査機カッシーニ、土星の大気に突入 13年間の探査に幕

探査機カッシーニが捉えた最後の土星の画像

2017.09.16 Sat posted at 14:30 JST

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)によれば、土星探査機「カッシーニ」は米東部時間の15日午前6時30分ごろ、土星の大気上層に高速で突入し、熱と高圧のため燃え尽きた。打ち上げから約20年に及ぶミッションを無事に終え、土星の一部となった。

カッシーニによる最後の交信とデータはその約1時間半後、オーストラリアの首都キャンベラにあるNASA深宇宙ネットワークの施設に到達した。遠く離れた土星から地球まではデータの到達に時間がかかる。

NASAは事前の予想通り、同日午前7時55分にカッシーニの消滅を確認した。大気突入の間も、小型エンジンの助けを借りてアンテナが地球の方向に保たれている間は約1分間にわたり、土星の組成に関する新たなデータを送信することができた。

これほど土星に接近した宇宙船はカッシーニの他にない。NASAによれば、カッシーニによるミッションの最後の数秒は、土星大気の初の観測結果をもたらしたという。14日には最後の画像を撮影し、最終突入に備えるため記録装置内にある全データを送信。15日に得られた最後のデータはすでに処理と分析が進められている。

NASAの探査機管制チームのトップは、「完璧な宇宙探査機だった」「最後までこちらのリクエストにすべて応えてくれた」と語った。チームメンバーの多くがミッションの終わりに寂しさを感じるとともに、最後の土星接近で得られた画期的な科学的発見に期待を寄せている。

カッシーニの打ち上げは1997年。2004年に土星軌道に到達した後、13年間にわたり土星やその衛星の探査を行ったが、これは土星の約半年に当たる。カッシーニは土星の北半球が冬の終わりを迎える頃に土星に到着、夏を見たところでミッション終了となった。

カッシーニが最後に突入する場所。可視赤外マッピング分光計から得たデータをつなぎ合わせて作成

カッシーニはこれまで2度、ミッション期間を延長してきた。最後のロケット推進剤を使い切ったのが今週だった。

収集したデータや画像は、太陽系に関する科学者の考え方を変える多くの発見に結びついた。到着時には土星で9カ月にわたる巨大な嵐を観測。衛星エンケラドスからは氷が吹き上がり、衛星タイタンではエタンやメタンの液体の海の存在のほか、大気中で降雨があることも確認された。

ミッションに関わる科学者や管制官は今回、意図的にカッシーニを燃え尽きさせた。カッシーニのデータや観測から、エンケラドスとタイタンには何らかの生命が存在できる可能性があることが判明。NASAでは、カッシーニの衝突によりこうした衛星や、衛星に関する将来の研究を地球の粒子で汚染させるリスクは冒したくないと判断した。

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