電気も水も家もない、ハリケーンから1週間 カリブ海の惨状

ハリケーン「イルマ」が直撃したカリブ海の島々に深刻な被害が出ている

2017.09.14 Thu posted at 13:55 JST

(CNN) 大型ハリケーン「イルマ」の直撃から1週間。カリブ海の島々の壊滅的な被害状況が明らかになってきた。これまでに少なくとも44人の死亡が確認され、被災者は推定120万人に上る。建物の99%が損壊した島もある。

カリブ海を襲った時のイルマの勢力は、5段階で最も強い「カテゴリー5」。最大風速は約83メートルだった。

最も被害が大きかったのはアンギラ、バーブーダ、英領バージン諸島、仏領とオランダ領に分かれるサンマルタン島(オランダ名シントマールテン島)などの各島。

6日にイルマが上陸したバーブーダ島では、国連人道問題調整事務所(UNOCHA)の推計で島内の建物の99%が破壊された。島内では電気も水も使えない状態にある。

キューバでは15州のうち13州で被害が出た。首都ハバナの洪水は解消されつつあるが、沿岸部や山間部では洪水によって孤立したままの集落もある。北部では水の供給が汚染されているという。サトウキビなどの農作物にも被害が及び、食の安全も脅かされている。国営通信によると、全土の3分の2近くでは今も停電が続く。

英領アンギラは政府庁舎の90%、学校の80~90%が損壊し、電気や電話回線は混乱、病院の対応は限られていて、水道も使えない。

仏領サンマルタン島では推定60%の住宅が居住不可能になった。英領バージョン諸島も地域によっては75~90%の住宅が構造的なダメージを受け、電気や水の供給にも重大な支障が出ている。

フランスの消防士からペットボトル入りの飲料水を受け取る仏領サンマルタン島の住民

英領タークス・カイコス諸島は停電が続き、ペットボトル入りの飲料水の供給は限られ、水処理工場の被害によって飲料水の供給もストップした。住宅や学校、政府庁舎、病院などにも大きな被害が出ている。

英国、フランス、オランダは対応の遅れを批判され、数千人の部隊を派遣するなど被災地支援を強化している。

赤十字やユニセフなどの非政府組織も支援に力を入れているが、現地からはまだ支援が足りないという声が相次ぐ。国連世界食糧計画によれば、カリブ海東部では20万人あまりが支援を必要としているという。

一部の島では商店などが略奪されたり、食品やガソリンを巡ってけんがが起きるなど治安の悪化も伝えられ、フランスやオランダは警官や兵士を増員して対応に当たっている。

英領バージン諸島では混乱に乗じて刑務所の受刑者100人以上が脱獄。これを受けて英国は兵士や警官を派遣した。

UNOCHAはカリブ海の島々がこうむったイルマの被害総額は100億ドル(約1兆1000億円)前後と推定。同地域のGDPの約15%を占める観光業にも大きな打撃が予想される。

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