トランプ政権、不法移民の救済措置を撤廃 80万人に影響

ホワイトハウス前で「DACA」の撤廃に抗議する人々

2017.09.06 Wed posted at 13:24 JST

(CNN) トランプ米政権は5日、幼少期に親に連れられて不法入国した若者の強制送還を免除する措置「DACA(ダカ)」の撤廃を正式に発表した。免除対象となってきた80万人近くに影響が及ぶとみられる。

セッションズ司法長官が司法省で撤廃を宣言した。国土安全保障省は5日の時点で新たな適用申請の受け付けを停止する。

DACAはオバマ前政権下の2012年、大統領令によって導入された。80万人近い若者が対象になり、導入後の5年間に米国内で結婚して子どもを持ったり、就職、進学したりしている。

この措置は民主党や共和党穏健派のほか、実業界、教育界からも支持されてきた。対象者は米国以外に母国と呼べる場所がないケースが多く、すでに米社会に大きく貢献しているとの認識からだ。

これに対して、同措置を違法とする10州の司法長官が廃止を求め、提訴の構えを示していた。

トランプ大統領は声明で、裁判所の判断で突然停止するよりも、行政主導で段階的に撤廃するほうが親切だと説明。民主的、合法的な手続きに従いながらも思いやりのある解決策を選んだと主張した。

方で「米市民の長期的な利益」にかなう移民制度改革の重要性を訴え、「失業して苦労している、忘れられた国民」への思いやりも必要だと述べた。

DACA撤廃への批判でオバマ前大統領も異例の声明

トランプ氏はDACA対象者に「大きな愛情」を持っているとも強調。議会に対し、対象者を救済する代替措置の整備を求めた。

DACAは2年ごとに更新が可能だった。今後6カ月のうちに期限を迎える対象者は、1カ月以内に申請すればあと1回は更新できる。議会が救済措置を取らないと仮定した場合、2019年8月までに62万人余りが資格を失って不法移民として扱われ、強制送還の対象になる可能性もある。

オバマ前大統領はDACA撤廃の発表を受け、この動きを批判する異例の声明を出した。

オバマ氏は声明で、「米国民が移民問題全般に関してどのような懸念や不満を抱いていようと、この若者たちの将来を脅かすべきではない。かれらが入国したのは自分たちのせいではないし、現在脅威を及ぼしたり、国民から何かを奪ったりしているわけではない」と指摘した。

さらに「子どものソフトボールチームにいるあのピッチャー、地元で災害が起きた時に駆け付ける緊急対応要員、自分にチャンスを与えてくれた国のために軍服を着たいと一心に願う士官候補生。かれらを追放しても失業率は下がらず、だれかの税金が減ったり賃金が上がったりすることはない」と訴えた。

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