アラスカ州フォートグリーリー(CNN) 北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を繰り返すなか、CNNはこのほど特別な許可を得て、米本土を守るためのミサイル迎撃拠点の一つ、アラスカ州のフォートグリーリー基地を取材した。
「着弾地点はロサンゼルス」「GBI(地上配備型迎撃ミサイル)2発で追尾している」と将校の声。敵地から発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)が米本土に向かっている――といっても、現実の話ではない。これはCNNに公開された迎撃訓練の様子だ。同基地ではこのような訓練が何度も繰り返されている。
米本土を狙ってICBMが発射された場合、防衛の切り札となるGBIは、こことカリフォルニア州バンデンバーグ基地に配備されている。
フォートグリーリーのミサイル格納庫は、同州フェアバンクスから240キロ離れた荒野の地下に設けられている。38基のGBIが天を仰いで待ち受ける。年末までにさらに6基が追加される予定だ。
取材班が格納庫に入った。ミサイルはいつ発射されるか分からない。警報が鳴ったらただちに機材を全て手放し、避難するよう説明を受ける。
ミサイルの先端にあるのが、弾頭部分に当たるEKV(大気圏外迎撃体)だ。「弾丸を弾丸で撃って破壊する」と、将校が説明する。「北朝鮮の実験や発言が攻撃性を増している。結果として我々の任務もますます現実性を帯びてきた」
ICBMの迎撃実験はこれまで18回実施され、標的を撃ち落とすことができたのは10回。成功率は60%だが、兵士らは「必ず迎撃できる」と口をそろえる。
GBIの増設を主張しているサリバン上院議員はCNNとのインタビューで、「1回の実験ごとに技術は進歩し続けている」と強調した。
冬場には氷点下となり日照もほとんどない厳しい天候の地域で、現場の兵士はこのミッションに非常に個人的な思いも重ねている。「家族のことを思う。ジョージア州にいる家族を。みんな同じだ」とある若い兵士は語る。「彼らを守るために絶対に100%この仕事をやる」
第49ミサイル防衛大隊は自分たちを「全50州3億人の米国人を守る300人の兵士」と呼んでいる。
ミサイル迎撃の拠点基地、内部の様子