ロヒンギャ数千人がミャンマーから避難 「命がけで逃げた」

暴力を避けて移動してきた女性や子どもら

2017.08.29 Tue posted at 15:32 JST

(CNN) ミャンマー西部ラカイン州の衝突激化を受けて、戦闘から逃れた少数派のイスラム教徒ロヒンギャが、国境を越えてバングラデシュに大量に避難している。

バングラデシュに避難した人の正確な数は不明だが、同国各地の難民キャンプの関係者は、過去5日で少なくとも3500人がバングラデシュに入ったと語った。

ラカイン州では25日から週末にかけて武装集団による襲撃が相次ぎ、国営メディアによればロヒンギャ武装集団の容疑者約80人と治安部隊の12人、市民6人が死亡した。

ロヒンギャはミャンマーでバングラデシュからの侵入者と見なされて差別的な扱いを受け、特に仏教過激派集団の標的にされてきた。一方、バングラデシュはロヒンギャをビルマ(ミャンマー)人とみなしている。

ラカイン州から来たというロヒンギャの女性(28)は国境沿いの難民キャンプでCNNの取材に応じ、夫や兄弟に送られて子どもを含む26人が両国の国境を隔てるナフ川までたどり着き、男性はラカイン州に残って女性や子どもは川を渡ったと語る。

「夜になるのを待って、バングラデシュ国境警備員の目を盗んでバングラデシュに入った。(難民キャンプに)たどり着いたものの、どこに寝泊まりすればいいのか、何を食べればいいのかも分からない」と女性は途方に暮れる。

同キャンプは昨年10月、国境を越えて避難してきた8万5000人規模のロヒンギャのために開設された。

27日に避難してきたという31歳の女性は、ミャンマー軍の兵士が自分たちの一行に向けて銃撃してきたと振り返る。

この女性によれば、ロヒンギャの村の近くで仏教徒3人の遺体が見つかったことから、軍や仏教徒の住民が逆上。夜中にロヒンギャの村を襲撃して茅ぶきの小屋に火を放ったため、命がけで逃げたという。

一家で難民キャンプに入る人も

国境検問所では迫撃砲や機関銃で銃撃されたが、一家で有刺鉄線のフェンスを乗り越えて、両国を隔てる無人地帯に入った。

「バングラデシュの国境警備隊は私たちを入れてくれない。それ以来、私たちは一家全員でこの湿地に座り込んでいる」。女性はフェンス越しに、涙ながらにそう語った。「バングラデシュに避難したい。罪のない子どもたちを危険な場所に戻したくない。希望の光は全く見えない」

その後、この女性は一家でバングラデシュ入国を許され、難民キャンプにたどり着いた。

バングラデシュ国境警備田の幹部は報道陣に対し、ミャンマー側から相当数の銃声や爆発音が聞こえたと証言する。国境を越えて避難してくる人たちは、「みんな脅えていて、命がけで避難してきた様子だった」という。

難民キャンプで警戒に当たるバングラデシュの国境警備兵

バンコクを拠点とする人権団体幹部のマシュー・スミス氏は、ミャンマー軍が大量殺人や集団レイプ、ロヒンギャの村の襲撃を行っていると語り、軍が市民を銃撃することは十分に考えられると指摘する。

スミス氏はミャンマー政府の事実上のトップ、アウンサンスーチー氏について、「同氏のオフィスが反ロヒンギャや反支援団体感情をあおり、同国の対立を激化させている。アウンサンスーチー氏は事実上の国家元首として平静を呼びかけ、軍に自制を促す必要がある」と話している。

ローマ法王庁は28日、ローマ法王フランシスコが11月27~30日にミャンマーを、同月30~12月2日にバングラデシュを訪問すると発表した。

フランシスコ法王は27日の礼拝で、ミャンマーで迫害を受けるロヒンギャのために祈りをささげていた。

ロヒンギャ数千人が避難

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