ワシントン(CNN) トランプ米大統領や家族らの身辺警護に当たっている職員1000人余りの残業代を含めた給与は、すでに年間予算の上限に達していることが分かった。米紙USAトゥデーが21日朝、アレス大統領警護隊(シークレットサービス)長官の話として伝えた。
同紙によれば、アレス長官は「大統領には大勢の家族がいて、我々の任務は法律で決まっている」「私にそれを変える権限はない」と語った。議会との間で、残業代を含む給与の上限引き上げに向けた立法を検討しているとも述べたという。
トランプ氏は大統領就任以来、ほぼ毎週末をニュージャージーやバージニア、フロリダの各州に所有するリゾート施設で過ごしてきたうえ、外遊の警護費用もかさんでいる。本人だけでなく、成人した息子、娘の出張や旅行にも警護が必要だ。
現在シークレットサービスの警護対象となっているのは、トランプ氏の親族18人を含む計42人。オバマ前政権では31人だった。
CNNは今年4月、トランプ氏がフロリダ州の施設を頻繁に訪れていることを指摘し、1年目の旅費だけでオバマ前大統領の8年分を超える見通しだと伝えていた。
ただしアレス氏は21日、CNNへの声明で、警護隊への給与に関して、トランプ政権に限った問題ではないと強調。全体的な業務拡大により、この傾向は10年近く前から続いていると説明した。
同氏の声明によると、今年1年間で約1100人の職員の残業時間が規定を超える見通しだが、昨年も同様の事態が発生し、超過を認める立法措置で対応した経緯がある。シークレットサービスは数カ月前から国土安全保障省やホワイトハウス、議会と協力して問題解決の道を探っているという。
報道によれば、アレス長官は議員と面会し、職員の給与と残業代の合計の上限について年間16万ドルから同18万7000ドルへと引き上げる法案について協議を行った。この措置は少なくともトランプ大統領の1期目に適用される。
アレス長官によれば、これが承認されても、約130人の職員が依然として、すでに働いた数百時間分について給与を受け取れない可能性があるという。
CNNが4月に行った試算では、トランプ大統領がフロリダ州にある施設に移動するために費やされた金額は就任から80日間で約2000万ドル超だった。このペースが続くと、オバマ前大統領の8年間の旅費を最初の1年で超える可能性があった。
トランプ氏は昨年の大統領選で、オバマ氏の旅費に税金が使われることについて、繰り返し批判していた。