母と2人の息子、DNA鑑定手掛かりに46年ぶり再会 米

実の息子たちと46年ぶりの再会を果たしたエルシーさん(中央)

2017.08.14 Mon posted at 15:20 JST

(CNN) 1971年にプエルトリコで離ればなれになった2人の息子と母親が、DNA鑑定を通じて互いを見つけ、このほど米テキサス州ダラスの国際空港で46年ぶりに再会を果たした。

アントニー・ウィッグズさん(46)と兄のレイモンド・エブリューさん(47)は、空港の到着ロビーで落ち着かない様子だった。やがてアントニーさんが、サングラス姿の1人の女性に目をとめる。

「エルシー?」。アントニーさんが声をかけた。母エルシー・ラミレスさん(64)だった。46年ぶりに抱き締めた2人の息子に、母は「アイラブユー」とささやいて、何度も何度も頬にキスし続けた。

エルシーさんは1971年、夫との関係が破綻(はたん)して、当時住んでいたプエルトリコを離れた。夫婦関係が悪化して間もなく、まだ幼かった2人の息子は現地の福祉局の介入によって母親から引き離され、兄のレイモンドさんは祖父母に引き取られて、後に父親が米テキサス州へ連れて行った。

一方、弟のアントニーさんはマータ・ウィッグズさん夫妻の養子になり、一家でカリフォルニア州に転居した。

エルシーさんはプエルトリコからマサチューセッツ州に移った後、必死になって2人の息子を探そうとしたが、見つけることができず、ずっと苦痛にさいなまれていたという。

成長したアントニーさんは自分の出生に関心を持ち、養母が見せてくれた出生証明書を手がかりに、毎日電話帳を調べてはプエルトリコやニューヨークやフロリダに電話をかけ続けた。ある時、テキサス州に住んでいたレイモンドさんの元妻と連絡が取れ、28歳になっていた兄レイモンドさんと再会した。

幼くして母親と別れたレイモンドさん(左)とアントニーさんの兄弟

その後も母を探し続けたアントニーさん。母は既に他界していると周囲から言われてもあきらめなかった。転機が訪れたのは今年5月。ガールフレンドからの誕生日プレゼントでDNA鑑定を受けたアントニーさんが、大型データベースを使って同じDNAを持つ親族を検索したところ、自分のいとこで、エルシーさんのおいに当たる男性に行き着いた。

この男性から、エルシーさんがマサチューセッツ州に住んでいると知らされ、フェイスブックを検索してエルシーさんの親友を発見。親友から教えてもらった携帯電話番号の留守番電話にメッセージを残した。

エルシーさんがメッセージを聞いたのは、1時間ほど後だった。「実はその時、母はショッピングセンターのトイレの中にいた」とアントニーさんは打ち明ける。「隣の部屋にいた女性は、母が喜びのあまり上げた叫び声を聞かされる羽目になった」

トイレから飛び出したエルシーさんは、すぐに息子に電話した。会話にはレイモンドさんも加わった。エルシーさんはスペイン語で「いつも祈って、ずっと探し続けていた」と語りかけ、3人で一緒に涙を流した。

エルシーさんが息子2人と再会を果たしたテキサス州の空港では、同州に住む5人の孫のうち4人も、初めて会う祖母を出迎えた。エルシーさんには別の男性との間にも子どもがいて、レイモンドさんとアントニーさんには一挙に7人の兄弟姉妹ができた。

その週末は、新しい家族や親類と外出したり料理をしたり、夕食に出かけたりして一緒に過ごした。全員がなかなか寝付けず、遅くまでしゃべり続けたという。

これからは2人の息子とできる限り多くの時間を過ごしたいとエルシーさん。「みんな年を取ったことなんて関係ない。僕たちは今も母の赤ん坊だから」とほほ笑むアントニーさんの頬に、もう1度キスして見せた。

46年ぶりに母子が再会、米

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