(CNN) キューバのハバナにある米大使館に勤務する職員数人が、音波装置を使った「音響攻撃」を受け、少なくとも2人が深刻な健康被害に見舞われて治療を受けるため米国に帰国したことが10日までに分かった。複数の国務省高官がCNNに明らかにした。
国務省のナウアート報道官は9日、在キューバ大使館に勤務する米政府機関の職員数人が、勤務中の事案に起因する「身体症状」を訴えていることを確認した。ただ、事案の性質や原因については明らかにしなかった。
ある当局者によると、複数の職員は回復不可能な聴覚障害が残る可能性がある。被害に遭った場所や時刻はまちまちだが、いずれも2016年末以来、脳震とうのようなさまざまな身体症状を発症しているという。
国務省は数カ月前からキューバ政府に懸念を伝え、医師をハバナに派遣するなどの対応を取ってきたが、事実関係を把握することはできていない。
当局者によれば、この問題については米連邦捜査局(FBI)も捜査に乗り出した。
ある当局者は「症状はさまざまなので、原因もさまざまかもしれない」と述べ、「まだ分からないことがたくさんある」と話している。
ハバナ駐在の米外交官は何年も前からキューバ当局者による嫌がらせの被害を訴え、自宅や車に侵入される被害も多発していた。ただ、2015年に米国とキューバが国交を回復してからは、嫌がらせはやんでいたという。
ナウアート報道官によると、被害に遭った職員のうち数人は米国に帰国。これを受けて米政府は今年5月、在米キューバ大使館の外交官2人を国外追放処分とした。
キューバ政府はこの問題への関与を否定、外交官の追放は「過剰反応」だと反発している。
当局者の1人はCNNの取材に対し、「我々は何が起きているのか見つけだそうとキューバの人々と協力した。彼らは知っていることはないと主張した」と述べた。
ナウアート報道官は、「ジュネーブ協定の下、キューバ政府は米国の外交官を保護する責任と義務がある」と語った。ナウアート報道官によれば、こうした症状を訴えているのは国務省の職員だけで、民間人の中にはいないという。
米国は、オバマ前政権時にキューバとの国交回復を実現していた。15年に国交を回復し、16年にはオバマ前大統領が米大統領としては88年ぶりにキューバを訪問していた。