元競泳王者フェルプス、競技人生を振り返る 「丸4日引きこもったことも」

マイケル・フェルプスさんは五輪で通算23個の金メダルを獲得した

2017.07.06 Thu posted at 19:35 JST

(CNN) 五輪で通算23個の金メダルを獲得した米国の伝説的な元男子競泳選手、マイケル・フェルプスさんは6日までにCNNとのインタビューに答え、これまでの軌跡を振り返った。自分の存在意義を見失い、自室に丸4日間、身動きもせずこもり続けたこともあったという。

フェルプスさんは2012年、ロンドン五輪を最後に引退を宣言したが、14年に現役復帰。その年の9月に飲酒運転容疑で逮捕され、米水泳連盟から6カ月の出場停止処分を言い渡された。

部屋に引きこもったのはこの時のことだ。親しい友人や家族が一丸となって支えてくれたおかげで、立ち直ることができたという。

メダルと才能、そして世界中のファンからの称賛。当時のフェルプスさんは、はたから見れば全てを手にしていた。だが実はロンドン五輪の後、フェルプスさんは目的を見失い、自分の価値が分からなくなっていた。

「時限爆弾が今にも爆発しそう」な気分だったと、フェルプスさんは振り返る。自殺を考えたこともある。一番怖かったのは、「自分がもう生きていたいと思わなくなった時」だという。

金メダルを取るには意志と才能が必要だったように、だれかの助けを求めなければならないと認めるには勇気が必要だった。

助けを求め、何かを変えなければならない。フェルプスさんは更生施設を探して入所し、そこで出直すことができた。

CNNの取材に答えるフェルプスさん

米国社会には、助けを求めることを弱さととらえる風潮があると、フェルプスさんは指摘する。自身も治療を始めた当初は何も話す気になれず、心を開くことができなかった。

だが2~3日後に開き直り、「自分を良くするための挑戦のひとつ」ととらえて飛び込むことにしたという。

自分の思いを口に出すことで救われた。16年リオ五輪での大活躍を経て引退した今は、この教訓を伝える活動に力を注いでいる。今年5月には、同じ競泳チームにいた金メダリスト、アリソン・シュミットさんとともに「子どもの心の健康啓発デー」で名誉議長を務めた。

現役復帰したリオ五輪でも金メダルを獲得した

治療後はそれ以前よりさらに競泳への情熱が増した。ロンドン五輪の前は減退気味だったという練習への意欲も再燃した。31歳という年齢を考えて、食欲がない日は無理にでもしっかり食べ、しっかり眠って体をつくった。体脂肪率は4.5%と、限界まで落ちたという。

最後の五輪となったリオでは、6種目中5種目で金メダルを獲得した。競泳人生で世界新記録を樹立したのは計39回。「あと1回で40回になったのに」と惜しむ。

これまでは過去に思いをはせる時間がなかった。「常にひとつのことから次へ、そのまた次へと進んできた。今ようやくこうしてメダルをながめ、自分が泳いできた20年余りに何が起きたかを振り返っている」と、感慨を込めた。

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