ロンドン(CNN) 英ロンドン西部にある24階建ての集合住宅で14日未明に起きた火災は、これまでに少なくとも12人の死亡が確認され、78人が負傷して病院に運ばれた。警察は、死者の数はさらに増えるだろうと予想している。
火災は火の回りが速く、瞬く間にビル全体に延焼。多くの住人が取り残され、窓から飛び降りた人もいると報じられている。
ビルの防火対策について住民が数年前から不安を訴えていたことも判明した。最近の改修工事で外壁に取り付けられた素材が一因となり、短時間に燃え広がった可能性も指摘されている。
英国のメイ首相は、捜索活動が終わり次第、原因究明のための捜査に着手すると表明した。
集合住宅には125世帯が入居しており、託児所もあった。病院に運ばれた負傷者78人のうち18人は重体となっている。消防局は65人を建物から救出したことを明らかにした。
14日夕刻に記者会見したロンドン警視庁の幹部は、「捜索活動は難航するだろう。死者の数は12人より増えることが予想される」「これ以上の生存者がいるとは予想できない」と語った。
行方不明者の数は現時点では分かっていない。イタリア外務省は、イタリア人少なくとも2人の安否が確認できていないことを明らかにした。
火災が発生したのは現地時間の午前1時ごろ。人々がビルから飛び降りたり、逃げ遅れた子どもが窓をたたいたりするのを見たという証言もある。
出火原因については、推測するのはまだ時期尚早だと消防局長は話している。
改修工事を手がけた会社は、ビル管理規制や防火規制、衛生基準、安全基準はすべて順守していたと強調した。
目撃者の証言によると、住人は出火当初、自室にとどまるよう指示されたという。高層ビルは一般的に、各階で火災を食い止める設計になっていることから、自室にとどまった方が安全な場合もある。
しかし今回の場合、建物の外面から火が燃え移り、全体に広がったと見られる。
ある女性は、友人が警察に指示されてビル内で3時間待ったが、助けが来なかったので自力で脱出したと話した。
別の一家は5歳の娘を連れたまま、出火からほぼ4時間たった午前5時ごろまで8階で身動きできなくなったという。
避難できた女性は「火災報知器が鳴らなかった」と語り、近所の人からの電話で初めて火災を知ったと話している。
複数の目撃者は、タワーから飛び降りる人を何人も見たと証言。隣の建物に住む女性はPA通信の取材に対し、女性が地上にいる男性に向かって赤ん坊を窓から投げるのを見たと証言した。
テレビを見ていたという住人の男性は、プラスチックが焼ける臭いで火災に気づき、「娘をつかんで階段を駆け下りた」という。「私たちが脱出するまでに、建物の半分が火に包まれていた。まるで山火事のような延焼だった」と振り返った。
近隣の教会などには住人のための避難所が開設され、地域住民や支援団体が食料や衣類などを提供している。
ロンドンの高層ビルで火災