忘れ去られたピラミッドを探索、冒険心くすぐるスーダンの旅

ピラミッド周辺をラクダで散策する。スーダンの砂漠の知られざる魅力とは

2017.07.14 Fri posted at 17:51 JST

(CNN) 忘れ去られた文明の古代ピラミッドがすぐそばにあり、周りに他の旅行者が一切いない場所でキャンプができるとしたらどうだろう。

しかも、その場所がスーダンだとしたら。

東アフリカの国スーダンは、二度の内戦と、現在は南スーダンとなっている地域での独立をめぐる紛争により近代史に汚点を残し、これまで旅行者数で隣国のケニヤ、エジプト、エチオピアと並んだことは一度もない。

たしかにスーダンの南西部では今も紛争が続いているが、ナイル川流域はおおむね平和だ。

英国のある旅行業者が今年、スーダン旅行の企画を始めた。イングランド・ウィガン出身のディラン・ハリス氏は、イラク、イラン、北朝鮮といった普段あまり行かれない国や場所への安全なツアーを提供すべく、2007年にルパイン・トラベルを設立した。

CNNは、最近ハリス氏とともにスーダンを6日間旅したドバイ在住のスコット・マイケル・ローソン氏にインタビューを行った。

スーダンに行こうと思ったきっかけを教えてください

インターネットでメロエの失われたピラミッドに関する記事を読み、スーダンとは一体どんな場所なのか考えるようになりました。そして実際に行ってみた結果、すべてのピラミッドが砂漠の真ん中にあり、まさにインディ・ジョーンズのような世界でした。

カメラに向かってポーズをとる地元の少年

スーダンはスペインとは違いますが、到達するのはどれほど容易だったのですか

スーダンのような場所、つまり冒険ができる世界で最後の場所になぜ旅行者が全く訪れないのか、その答えが分かりました。それは、ビザの取得や現地での周遊が非常に困難だからです。私はこれまで個人で行動するバックパッカーでした。スーダンを徒歩で旅行する(計画も自分で立てる)時間があれば、それでも問題ありません。しかし私のように仕事があり、休みが5日間しか取れない場合、個人での旅は不可能です。

そこで私はディラン・ハリス氏が経営するルパイン・トラベルに連絡を取りました。ハリス氏は、北朝鮮への格安ツアーの企画を始めた人物です。そこで私も昨年、ハリス氏と旅をしました。彼らがすべてのビザの取得や(スーダンでの)旅行の計画作りをしてくれました。

私はエミレーツ航空でドバイから直接ハルツーム(スーダンの首都)に向かいました。ハルツーム行きのフライトは1日2便で、料金は格安です。往復で250ドル(約2万8000円)でした。

スーダン旅行はまさに冒険のようでした。かなり低予算の旅行で、現地のゲストハウスや小さなホテルに宿泊し、テントで寝たこともあります。また(ピラミッドまで砂漠の中を走るので)四輪駆動の車と、現地の地形と砂漠での運転の仕方を知っているドライバーが必要です。

実際、ピラミッドはいかがでしたか

まずハルツームから抜け出すのに車で約1時間かかります。そして突然曲がり、幹線道路から砂だらけの平野に入ります。その砂漠では、ヤギを散歩させている人、地元の村人たち、泥れんが造りの家などが見えます。彼らは皆、手を振ってあいさつをしてくれます。私がペンを取り出して子どもたちにあげると、彼らは大変喜んでいました。

その後、ジープで寺院やピラミッド、古代都市の間を走り抜けます。

スーダン北部にある高さ約90メートルの小山「ゲベル・バルカル」

私は「なぜわざわざ砂漠の真ん中に寺院を建てるのか。普通、水の近くに建てるのではないか」と、ずっと疑問に思っていました。しかし、それは気候の変化と砂漠化が原因と分かりました。つまり、300年前に水辺に建てられた寺院が、現在はナイル川から5キロも離れた位置にあるのです。

現地ではピラミッドを存分に探索できますし、ピラミッドの中にも入れます。(スーダンの)ピラミッドはエジプトのそれに比べるとはるかに小さいです。(見物客の)行列は全くありませんし、かなり辺ぴな場所にありますので、非常にわくわくします。メロエのピラミッド墓地が最も大きく、ピラミッドはすべて黒色で、数十基あります。われわれはそこでキャンプをしました。

なぜピラミッドは黒色なのですか。

それは分かりません。スーダンについてひとつ言えるのは、現地にはガイドがあまりいないということです。また地元のガイドたちは寺院についてあまり詳しくありませんので、自分で詳しいガイドブックを持参する必要があります。

スーダンの砂漠でのキャンプはどんな感じですか

われわれは現地の旅行会社の人とともに砂漠に入りました。しかし経済制裁などの影響で、旅行会社でも高品質のキャンプ用具は持っていません。われわれは、自宅の庭に広げて遊ぶようなポップアウトテントに泊まりました。夜はかなり冷え込み、風も強くなります。ある朝目覚めると、テントのいくつかが風で倒れそうになっていました。それほど簡素なテントでした。

宿泊施設やインフラが整備されているのはハルツームのような主要都市のみ

ご友人からスーダンで休暇を過ごすなんてどうかしていると言われたそうですが、その指摘は正しかったのですか。つまり、現地は安全と感じましたか

スーダンは危険と思われていますが、事実と異なります。率直に言って、ハルツームを歩いている時の方がロンドンを歩いている時よりも安全に感じました。現地の人々(教師や国連の職員ら)によると、長年ハルツームに住んでいるが、強盗に遭ったことは一度もないそうです。彼らは夜でも大変楽しそうに通りを歩いています。

最後に、仮に旅行会社がなくても、スーダンへの旅行は可能だったと思いますか。

自力でも旅行はできたと思いますが、いずれにしても現地のツアーガイドは必須です。また主要都市以外では本格的なホテルやレストランはありませんし、インフラも整備されていません。本当に何もない場所を車で走り抜ける感じです。実際、骨の折れることが多いでしょう。また他の旅行者に会わないので、孤独な旅でもあります。

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