米NASA、初の太陽探査ミッション 来夏開始

NASAが来年、太陽探査ミッションを予定している

2017.06.01 Thu posted at 11:52 JST

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)は、無人探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」を送り込んで太陽の大気を調べる初のミッションを2018年夏から開始する。NASAが太陽と、コロナと呼ばれる太陽の最も外側の大気の探査に乗り出すのは初めて。

探査機の高さは約3メートル。炭素複合素材でできた厚さ約12センチのシールドに守られて、観測史上最も近い距離まで太陽に接近することを目指す。

パーカーはこれまでどの探査機も経験したことのない熱と放射線にさらされる。それでも太陽の様子が詳しく分かれば、地球や太陽系について解明する手がかりにもなると研究チームは期待する。

同探査機はこれまで「ソーラー・プローブ・プラス」と呼ばれていたが、宇宙物理学者のユージーン・パーカー・シカゴ大学名誉教授にちなんで31日からパーカー・ソーラ・プローブと改名された。

パーカー氏はシカゴ大学の教授だった1958年、太陽風の存在を初めて予測する論文を発表したことで知られる。それまで惑星間の空間は真空だと思われていた。

太陽風の説は、パーカー氏が論文を発表してから2年足らずで衛星の観測によって裏付けられ、同氏の研究は太陽と宇宙空間に関する学説を一変させた。パーカー氏は、探査機の命名について、「これほど勇敢な科学宇宙ミッションにかかわることができて光栄に思う」とコメントしている。

探査機にはパーカー氏の写真と論文、同氏から太陽へのメッセージを刻んだプレートも搭載される。

探査機は、太陽の表面から約600万キロの軌道に到達して観測とデータ収集を行い、太陽の物理構成やコロナの状態を調べる。衛星の運用や地球上の電力網などにも影響を及ぼす太陽風への理解も深め、宇宙の気象予報の向上に役立てる。

NASAではミッションの目的について、「コロナと太陽風を熱して加速させているエネルギーの流れをたどり、太陽風の源のプラズマや地場の構造と力学を解明し、エネルギー粒子が加速されて運ばれる仕組みを探る」と説明している。

探査機はいずれ、水星よりも近い距離まで太陽に接近。最短距離ではセ氏およそ1370度に達する熱から、炭素複合素材シールドを使って身を守る。設計上は、探査機の内部や計器類は快適な室温に保たれる。

太陽を周回する速度は時速約72万キロ。エネルギーが最も高い太陽粒子の発生源も通過する。

ミッションは2025年6月に終了予定。「太陽探査機は宇宙でこれまで前人未到だった地域に到達する」「ついにその姿を見ることができるのは非常にエキサイティングだ」。パーカー氏はそう話している。

米NASA、太陽探査機打ち上げへ

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