北朝鮮の新型ミサイル「成功」 専門家から疑問の声

北朝鮮によるミサイル発射「成功」について、専門家からは疑問視する見方も出ている

2017.05.30 Tue posted at 18:49 JST

(CNN) 北朝鮮が29日に発射したミサイルについて、朝鮮中央通信(KCNA)は30日、精密誘導システムを導入した新型弾道ミサイルの実験に成功したと発表した。これに対して専門家らは懐疑的な見方を示しているほか、立て続けのミサイル発射について、北朝鮮内部の動揺を示しているのではないかとの声も出ている。

KCNAによれば、ミサイルの着弾点と標的との誤差はわずか7メートルだった。

空中で進路を修正する誘導システムに加え、新型の移動式発射台が使われたという。事実だとすれば、発射前の準備時間を大幅に短縮することが可能になる。

KCNAは、新型のミサイルと発射台は先月の軍事パレードで初公開されたと伝えている。

だが米シンクタンク、ランド研究所の上級アナリスト、ブルース・ベネット氏は、北朝鮮側の主張に疑念を示す。

同氏が複数の専門家の話としてCNNに語ったところによれば、29日のミサイルは3月から4月にかけて立て続けに失敗した4回の実験の中で、すでに2~3回発射されていたという。

ベネット氏は、「それほど正確なミサイルではなかったというのが第一印象だ」とコメント。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の意図については「3月から4月にかけて何度も失敗しただけに、成功のパターンを維持したい一心だった」との見方を示す。

北朝鮮は3~4月に4回続けてミサイル発射実験に失敗した後、このところ3週連続で発射を繰り返している。今年初めから数えると今回で実験は9回目、ミサイルは12発目となった。実験の成否にかかわらず、発射のたびに「米本土まで到達するミサイルの開発」という目標に向けて新たな情報を得ていると考えられる。

4月の軍事パレードではさまざまなミサイルが披露された

過去3回の実験は「成功」と宣言されたが、今後も成功が続く保証はないと、ベネット氏は指摘する。北朝鮮が昨年実施した中距離弾道ミサイル「ムスダン」の実験は、失敗を5回繰り返してから1回だけ成功したものの、その後さらに2回失敗が続いた。

ベネット氏は、相次ぐミサイル実験が北朝鮮内部の動揺を示している可能性を指摘する。エリート層が政権への不満を募らせているといった状況も考えられる。

金委員長が中国からの批判にさえ耳を貸さずに実験を繰り返すのは、「内部に向けて何かを証明してみせなければならないからではないか」と、ベネット氏は話している。

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