(CNN) 米国のトランプ大統領の初の外遊が終わった。首脳外交の間に見せた握手や表情からは、大統領の人格の一端が垣間見える。
時として物議をかもすこともあるトランプ大統領の言動だが、大統領が見せたゼスチャーを手がかりに、その真の意図を専門家に読み解いてもらった。
前に出ようとする戦い
トランプ大統領はイタリアの北大西洋条約機構(NATO)本部で開かれた首脳会議で、モンテネグロのマルコビッチ首相を押しのけた。
ボディーランゲージに詳しいジュディ・ジェームズ氏によると、他人を押しのけて最前列に出ようとする行動は、トランプ氏が苦労して地位や権力を手にした人物であることをうかがわせるという。
「いつも注目されて育った子どもが、わざわざその立場を強調したり、人を押しのけてまでそうする必要性を感じたりすることは滅多にない」とジェームズ氏は解説する。「世界で最も高い地位に上り詰めてもまだ、トランプ氏はあらゆる場面で自分が一番であることを確認する必要性を感じずにはいられないようだ」
マルコビッチ首相を押しのけたトランプ大統領は、自分のジャケットを整え、マルコビッチ首相と目を合わせようとはしなかった。人は普通、他人を押しのければ謝ったり、言葉には出さなくても言い訳めいた行動をしたりする。
しかしトランプ大統領の場合、「押しのけた後のボディーランゲージから判断すると、一番高い地位にいるのが自分の権利だと信じている様子がうかがえる」とジェームズ氏は言う。
握手して引き寄せる動作
人と握手しながら相手を強く引き寄せる動作は、昨年の大統領選挙の当日にペンス副大統領と握手した時や、連邦最高裁判事のゴーサッチ氏任命を発表した時に見せていた。
こうした動作は攻撃的で、見る者に不快感を与えると専門家は言う。しかしこれは単純に、自分が一番上であることを誇示する動作にすぎない。
長い握手
ブリュッセルで握手を交わしたトランプ大統領とフランスのマクロン大統領は、互いの手をなかなか離さなかった。
「マクロン大統領がこのゲームを仕掛けた」とボディーランゲージ専門家のルイーズ・マーラー氏は見る。「トランプ大統領は勝とうとしたが、この時は勝つことができなかった」
これに対して別の専門家のスティーブ・バン・アペレン氏は、「マクロン大統領が権力を誇示して、トランプ氏に対し主導権を握っていることを示そうとした権力争いの握手だったが、私の意見では、トランプ氏が勝った」と解釈する。
指の「三角形」
政治家や俳優などの有名人にはそれぞれ、自らが頼りにする「休息姿勢」がある。トランプ氏の場合、指を使って三角形を作る仕草がそれに当たる。専門家によると、これは権力や自信、正確な思考を伝える仕草だという。
トランプ氏は座っている時には手でこの形をつくり、立っている時は「勝利のO」と呼ばれる同様の姿勢を取る。
真剣な表情
トランプ大統領がよく見せるのは、あごを突き出し口元を引き締めて目を見開く表情だ。カメラに向かってポーズを取る時にもこの表情を見せることがある。
これについてジェームズ氏は、「上に立つ男らしく見えると考えて意図的にやっている仕草だと思う」と分析する。
ジェームズ氏によれば、この表情は、群れの中で一番高い位置にある動物がよく見せる。特に、群れの中でも地位の低い動物と離れ、「自分の地位の高さに由来する多めの餌」をむさぼっている動物にありがちな表情だという。
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