ミシュラン調査員に聞く舞台裏<上> 世界最高の仕事?

ミシュランの調査員は「最高の仕事」?

2017.11.18 Sat posted at 18:06 JST

(CNN) ミシュランガイドの調査員の職とはどんなものかと常々不思議に思ってはいないだろうか。

世界最高級のレストランで食事をするのが大変な仕事だとはとても感じられない。だが、ミシュラン調査員の生活には、次から次へと高級食材を食べること以外にも多くの仕事がある。

ミシュランガイドは1900年、初期の自動車利用者向けの簡便な旅行ガイドとして登場。美食にまつわる全ての事柄についての国際的な権威に成長していった。

CNNは今回、英国・アイルランド版ミシュランガイドの編集者を務めるレベッカ・バー氏に話を聞いた。バー氏は現在の仕事に移る前、12年間にわたり調査員として勤務。20年近くミシュランに在籍している。

夢のチケット

バー氏は英国に生まれ、料理学校に通い、9年間シェフとして働いた後、1998年に業界誌で調査員募集の広告を見つけて応募、この職を手に入れた。すぐに6カ月の訓練が始まり、先輩調査員に付いて仕事のコツを学んだ。

調査員は匿名で予約を取り、自ら料金を支払う。食事の後は詳細な報告書を執筆するほか、報道をチェックしたり、料理の写真を撮ったりもする。自身の見解を固めるため、必要な限り何度でもひとつの場所を訪れる。

1年に少なくとも275回はレストランで食事し、毎月3週間にわたり出張している。

バー氏は「ミシュランが非常に真剣な会社だとすぐに気付いた。ガイドにこれほどの仕事量を投入しているとは全く想像してなかった」と話す。

ミシュランの調査員にとって出張は当たり前だ

調査員の大半は10年以上にわたる接客や調理の訓練を積んでいる。ただバー氏は、お互いに補い合うような経歴を持ったメンバーでチームを構成するのが良いと指摘。「調査員の候補として理想的なのはシェフだが、店舗管理者もチームに加えている。ワインを専門にする人もいる」と語る。

出張は当たり前

調査員の生活では、新規開店や拡大を続けるミシュラン社のプロジェクトに追いつくため、ひっきりなしに出張することが求められる。

バー氏は香港とシンガポールから英国に戻ってきたばかり。スカンジナビア諸国で働きながら欧州の主要都市も担当する同僚もいるという。

こうして世界中で食事の経験を積むことで、貴重な洞察力が培われる。バー氏は「調査員には知識と経験を身につけてほしい。過去の訪問で得た経験を元に、判断基準を確立していく」と話す。

次回「ミシュラン調査員に聞く舞台裏<下> 匿名性が鍵」は11月19日公開

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