失われた大陸のかけらを求めて、「マウリティア」の痕跡を探す旅 モーリシャス

2017年に失われた大陸のかけらが見つかったとの報告がなされた

2017.10.18 Wed posted at 11:54 JST

モーリシャス(CNN) 太古の昔にアフリカとインドから分離して姿を消していた「失われた大陸」を発見か――そんなおとぎ話のような話題がメディアの見出しを飾っている。

海中に沈んだという伝説の都市「アトランティス」や仏小説家ジューヌ・ベルヌの作品に出てくる「神秘の島」、映画「キングコング」の「髑髏(どくろ)島」を想起させる発想だ。

科学者はこの「新しい」大陸を「マウリティア」と呼んでいる。大陸の断片がインド洋のモーリシャス島で発見されたためだ。

大陸が7つ以上存在するなどという事態がいかにしてあり得るのか。もし他にも大陸が存在するのだとしたら、一体どこにあるのか。

今回の発見をしたルイス・アシュワル氏の説明によれば、その答えは、地質学者による大陸の理解は大半の人とは異なるというのものだ。

大ざっぱに言うと、地質学者は地球を大陸と海の2つの領域に分けている。大陸はもちろん陸地だ。古い物質でもあり、地質学者は大陸では数百万年単位でなく数十億年単位で測定される岩石を探している。

一方、海底にある岩石は比較的新しく、その歴史はわずか数百万年だ。

新たに発見されたのは、航海でたどり着けるような巨大な陸地ではない。大陸の破片だ。古代に存在していたゴンドワナ大陸が分裂し、インドとアフリカ、マダガスカルが分離した際に取り残された。

大半の島と同様、モーリシャスもインド洋の海底から噴き出す火山噴出物によって形成された。溶岩が冷えて石になり、最終的に植物や動物が育つのが可能になった。

アシュワル氏は「モーリシャスは若い火山だ」「モーリシャスに900万年以上前のものは存在しない」と指摘する。

だがモーリシャス島には、岩石の内部に閉じ込められていたり粉々になってビーチの砂と化していたり、あるいは道路脇の何でもない場所に隠されていたりという形で、地球最初期の数十億年前の物質の証拠が残されている。

こうした古代の鉱物はジルコンと呼ばれている。放射性を帯びており年代の特定が可能だ。

「マウリティア」は海を渡っていくような場所ではないが・・・

アシュワル氏は「モーリシャスのジルコンは大半がおよそ500万~600万年前のものだが、一部は30億年近く前にさかのぼる」との見方を示す。地球の歴史は45億年ほどでしかないため、30億年前のジルコンは地球の最初期を示していることになる。

アシュワル氏は、ここまでの古さのジルコンを見つけるには大陸におもむかねばならず、海にはこれほど古い大陸由来の物質を発見できる場所はないとも指摘。「モーリシャスは海にあり、この岩は古代のジルコンを含んでいる。ということは、モーリシャスの下には大陸の一部があるに違いない」と述べる。

これが示しているのは、ゴンドワナ大陸の分裂が従来の想定ほどきれいなものではなかったということだ。複数の大陸が分かれていくなかで破片が欠け落ち、その過程で見失われた。未発見の大陸地塊がインドに向かって伸びている可能性もある。

残念なことに、ジルコンも顕微鏡で見ることしかできない。ただ、発見地の一部は人気観光地の近くにあり、簡単に訪れることができる。

南緯20.3711111度、東経57.70111111111111度 オランダ人初上陸地点の近く

この座標をたどると、サトウキビ畑やマングローブが生い茂る地域に至る。実際にたどり着くのは難しい場所だが、オランダ人初上陸の地点を示す記念碑から容易に見渡すことができる。

オランダ人は1598年9月20日に初めてモーリシャスに上陸した。アラブの人々や、後にポルトガルの人々にも島については知られていたが、だれも移住することはなかった。オランダの人々も植民地を作ったものの、後に放棄した。

記念碑そのものはあまり見どころがないが、高速道路のドライブで豪華な眺めが楽しめるほか、古い要塞(ようさい)が点在する光景も目にすることができる。

海岸を歩いて「失われた大陸」を発見するのもおつなものかも

南緯20.416109度、東経57.384561度 シャマレル付近

モーリシャス西部では国立公園を縫うようにして、シャマレル周辺の山地を道路が走っている。急カーブを経て1カ所を降りると、片方に岩壁、もう片方に崖のある1車線の道に至る。

この車線の信号を過ぎたあたりで、露出した山肌にジルコンが含まれていた。ジルコンは硬い岩の中に埋め込まれていたことから、失われた大陸の塊が存在したとの説の最も強力な論拠につながった。

これにより、ジルコンが風に乗ってモーリシャス島に到達したという可能性は完全に排除された。一帯には高級レストランやホテルがあるが、事前に予約が必要だ。

南緯20.0527778度、57.52194444444444度 ポワント・オー・ビシュ

首都ポートルイスの北方にあるこの海辺では、白い砂浜に黄金の夕日がかかる光景を楽しめる。ここの砂や黒い玄武岩の中にもジルコンが見つかった。

ビーチは地元住民の間でピクニックや散歩の場所として人気がある。北部のリゾート地、グランべに至る格好の中継地点で、島の下に他にどんな謎が眠っているのか思いをはせる場所ともなっている。

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