変わりゆく香港麻雀事情、見つめ続ける牌彫師に聞く<下>

牌彫師の何秀湄さん。1日4~5時間作業し、4~5日ほどで1セットを完成させる

2017.12.31 Sun posted at 10:00 JST

香港(CNN) 麻雀は1800年代に始まったとされる。現在はアジアだけで推定3億5000万人がプレーしており、世界有数の競技人口を誇るゲームとなっている。

香港の路地を歩いていると至る所で麻雀を見かける。香港の九龍地区に手彫りの麻雀牌の店を構える何秀湄さん(59)は一つひとつの牌を手で仕上げる。何さんのような彫師はもうわずかしかいないが、雀荘や家庭からはこれからも昼夜を問わず、牌を重ねる音が響いてくるだろう。

4人で雀卓を囲むこれまでのスタイルだけでなく、現在は携帯ゲームでのプレーや高級レストランに併設された麻雀室など、新しい麻雀文化が徐々に確立。愛好者の拡大に向けた取り組みも進められている。

「毎週日曜日はきょうだいと麻雀をやる」と語る何さん。「コミュニケーションが活発になる。お互いに十分なコミュニケーションを取れていない場合は、麻雀により雰囲気がほぐれることもある」と話す。

カクテルを飲みながら麻雀を楽しめる現代的な雰囲気の雀荘も登場

若者は携帯電話でひとりプレーする場合が多い。「息子は30歳だが、地下鉄に乗りながら電子機器で麻雀をやっている。メンツを集める必要がない」という。

幸い、麻雀は香港の家庭に生まれなくても楽しめる。

香港の中環(セントラル)地区付近のショッピングモールにある新レストラン「点心ライブラリー」では、カクテルや高級点心とともに現代的な雰囲気を提供している。店舗の奥に中国風の内装を施した麻雀室があり、雀卓が置かれている。

運営企業の創業者によれば、近く麻雀教室も導入する方針。「麻雀はこの都市のDNAの一部。大半の家庭で伝統の一部となっている」「この伝統を絶やさないようにしたかった」という。

単に存続しているというだけでなく、麻雀が活気づいている場面も見受けられる。

「点心ライブラリー」では英語圏の人向けの麻雀会も主催

高級ファッションブランドのコンサルタントとして活躍するキャロライン・ロバーツ氏は、ルイ・ヴィトンや上海灘による限定版の牌でプレーした経験もあると言及。「(麻雀をプレーするのは)本当はおしゃれな習慣だ」と話す同氏は、点心ライブラリーで英語圏の人向けに麻雀会を主催している。

健康的な遊び場や新しい頭の体操法を求める社会人の間で麻雀は人気だという。

ロバーツ氏自身は5歳のころに麻雀を始めた。「中国文化の重要な部分として麻雀を広めたい」「外国人の大半は流暢(りゅうちょう)な広東語を身につける時間はないだろうが、麻雀なら香港に住んでいる間にできるようになるのではないか」と話す。

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