(CNN) 米ユナイテッド航空の国内便に搭乗した乗客が無理やり引きずり降ろされ負傷した問題で、対応に当たったシカゴ航空局の警察官がこの乗客について、両腕を激しく振り回すなどして暴れたと証言していることが26日までに分かった。情報公開法に基づき公開された事故報告書の内容から明らかになった。
この問題では今月9日、シカゴの空港でユナイテッド便に搭乗した乗客のデービッド・ダオ氏(69)が、オーバーブッキング(過剰予約)を理由に無理やり同機から引きずり降ろされた。
報告書は司法監視団体のジュディシャル・ウォッチが情報公開法に基づいて請求した。
報告書の中で対応に当たった警察官の1人、モーリシオ・ロドリゲス氏は、ほぼ他の乗客が証言している通りだとしながらも、同僚の警察官がダオ氏を座席から引き離そうとしたところ、ダオ氏は「両腕を激しく上下に振り回し始めた」と証言。もう1人の警官、ジェームズ・ロング氏も、「(ダオ氏が)こぶしを握って両腕を上下させた」としている。
ロドリゲス氏によると、ダオ氏は警察官に対し、攻撃的な態度で「私は降りない。金を払って乗ったんだ。逮捕されても構わない」などと怒鳴ったとされる。
一方、ダオ氏の後ろの座席に座っていた乗客の証言は食い違っている。この乗客はCNNの取材に対し、ダオ氏はけんか腰ではなかったと証言。2人目の警察官が来て降りるよう促されると多少興奮した様子だったが、声を荒らげることはなかったと話している。
複数の目撃者によると、ダオ氏が叫び声を上げ始めたのは、警察官がダオ氏を力ずくで座席から引き離そうとし始めた時だった。
ロドリゲス氏の報告によれば、座席から引きはがされたダオ氏が暴れて抵抗したために、警官が手を放し、ダオ氏が前のめりに転んで反対側の座席のアームレストに口の部分が当たったという。
機外へ引きずり出されたダオ氏は、搭乗ブリッジまで連れて行かれたが、そこで警察官を押しのけて再び機内に駆け戻ったという。ロドリゲス氏によると、ダオ氏は「私は降りない。殺すなら殺せ。家に帰りたい」と言いながら機内の柱にしがみついたとされる。
報告書に名前が出ている警察官4人はいずれも、騒ぎから10日以内に休職扱いとされた。
シカゴの警察組合はCNN系列局のWLSに対し、組合とシカゴ航空局が現在、この問題について調査を行っていると説明し、調査が終わるまでコメントは差し控えるとした。
ダオ氏の弁護士は報告書の内容について「情報源を考えれば何の意味もない」と一蹴した。
オーバーブッキングで乗客を無理やり機外に